東武鉄道、視覚障害者の歩行を遠隔支援 駅などで実証

東武鉄道は埼玉県内の駅や商業施設を訪れる視覚障害者を音声で誘導する実証実験を6月中に始めると発表した。視覚障害者が所有するスマートフォンのカメラ映像を専門オペレーターに遠隔共有し、オペレーターが目的地まで音声案内できるようにする。鉄道関連施設のバリアフリー化をうながす施策の一環として展開する。
SOMPOホールディングス傘下のプライムアシスタンス(東京・中野)が運営する視覚障害者向けの遠隔支援システム「アイコサポート」を活用する。東武東上線の和光市駅(埼玉県和光市)や志木駅(同県新座市)と両駅に併設する商業施設で展開する。
歩行者はスマホを首から下げ、アイコサポートの専用アプリの通話機能を起動させる。するとオペレーターに音声がつながり、スマホのカメラを通じて歩行者の前方の映像が共有される。オペレーターは「もう少し左を向いてください」「足元の映像が見られるようにしてください」などと伝えることで、周囲の状況を細かく確認しながら案内する。混雑する駅構内でプラットホームなどの目的地まで利用者を円滑に誘導する狙いだ。
実証実験は2023年1月までを予定する。障害者とオペレーター数人規模で、実際に音声で安全に誘導できるかを複数回テストする。実験を通じてシステムの利便性や安全性、通信状況や騒音などの利用環境を確かめ、本格導入を検討する。