仏電機シュナイダー「デジタルとサービスが半分」

仏電機大手シュナイダーエレクトリックの日本法人(東京・港)は2022年の事業戦略説明会を6月28日に開催し、同社日本統括代表の白幡晶彦氏は「世界におけるグループ全体の売上高のうち、デジタルとサービスが半分を占めるようになった」と明かした。同社の事業がハードウエアの販売だけでなく、ソフトウエアやコンサルティングサービスの領域に広がっていると述べた。
世界におけるシュナイダーエレクトリックの21年の売上高は約290億ユーロ(約4兆1000億円)。分野別の売り上げ構成をみると、製造業向けの工場自動化(FA)システムなどを含む「産業自動化」分野が23%、エネルギー管理システム(EMS)などの「エネルギー管理」分野が77%を占め、2本柱となっている。
日本を取り巻くトレンドとして白幡氏は「少子高齢化」「国土強じん化」「脱炭素化」といったキーワードを示し、デジタル化の重要性が高まっていると指摘。それぞれに貢献する同社の製品やサービスを紹介した。
製造業向けとしては、17年に発売した拡張現実(AR)アプリケーションに言及した。タブレット端末のカメラを設備にかざすと、保守点検の作業指示書を呼び出したり、作業記録を残したりできる。「21年はARの関連事業に対する顧客からの引き合いが増え、19年の1.8倍に成長した」(白幡氏)
日本向けの新製品としては、装置を制御するプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)ソフトウエア「EcoStruxure Automation Expert(エコストラクチャー・オートメーション・エキスパート)」を22年7月に発売する。複数のPLCを接続した産業用パソコン(IPC)で動作するWindows(ウィンドウズ)向けソフトウエアだ。21年11月に発表していたもので、海外では既に提供を始めていた。
EcoStruxure Automation Expertは、「PLCの機種の違いを吸収してくれるので、故障などでPLCを入れ替える際にメーカーの差異を意識せずに済む」(同社インダストリー事業部バイスプレジデントの角田裕也氏)。現在、物流センターで稼働する搬送装置向けなどで引き合いがあるという。
(日経クロステック/日経ものづくり 斉藤壮司)
[日経クロステック 2022年6月30日掲載]
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