アステラス、肺炎球菌ワクチン開発権を米社へ返還
アステラス製薬は1日、開発中の肺炎球菌向けワクチンについて、開発や商業化の独占的な権利を米バイオ企業アフィニバックス(マサチューセッツ州)へ返還すると発表した。2017年に権利を取得したが、開発の優先度が他製品に比べて低くなったため。返還に伴い、一時金収入として6500万㌦(約75億円)を22年3月期中に計上する可能性がある。

権利を返還する開発品は肺炎球菌を標的としたワクチン候補「ASP3772」。アステラスが実施した中期段階の臨床試験(治験)では、体内で抗体がつくられるなどの効果があり、米食品医薬品局(FDA)は画期的な医薬品候補に指定している。
権利は米社側に返還するが、アステラス側の貢献により開発が進んだため、契約一時金や進捗に応じた収入を得られる。関連手続きが3月末までに完了すれば、一時金は22年3月期に計上する見込み。通期の業績予想には織り込んでいないため、上振れ要因となる可能性がある。
アステラスは21年5月に新たな中期経営計画を発表し、遺伝子治療薬や細胞医療などの先端医療分野を注力領域としている。同ワクチンの開発の優先度は他製品に比べて高くないと判断し、返還を決定した。
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