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波乱相場でこそ資産が増える 積み立て投資の3つの効用

プロとスゴ腕が指南 積み立て投資の実践テク(1)

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若い世代を中心に実践する人が急増している積み立て投資。最大の特色は、方向感が定まらない波乱相場でこそ資産を増やせるという点だ。個別株投資で億円単位の資産を築いたスゴ腕の個人投資家の中にも、積み立て投資を併用している人が少なくない。今回は特別企画として、そうしたスゴ腕の1人が率いる個人投資家集団に投資のプロや他のスゴ腕たちを取材してもらい、積み立て投資の魅力と実践ノウハウを深掘りしてもらった。全4回の連載でお届けする。

株式市場は今年に入って不安定な展開が続いている。国内外のニュースに一喜一憂して激しく上下しながら、中期的には下落基調をたどっている。こうした状況で改めて注目されているのが、「積み立て投資」と呼ばれる投資手法だ。投資信託や金など、価格が変動する同一の金融商品を一定の額で定期的に購入する。

相場の下落局面でも買える

購入資金が同額なので、金融商品の価格が低い時には購入数が多くなり、価格が高い時には購入数が少なくなる。例えば、積み立て投資で日本株の投信を毎月1万円ずつ買うとしよう。投信の基準価額が1万円の時の購入口数は1万口だ。基準価額が2万円に上昇すれば購入口数は5000口に減り、基準価額が5000円に下落すれば2万口に増える。

このように金融商品の価格が割高な時には購入を抑え、割安な時に購入を増やすことで、割高な時に買い過ぎたり、割安な時に買い逃したりといった事態を防ぐことができる。

株式市場全体が下落する局面は有望株を仕込む好機だが、「まだ下がるのでは」と警戒して買えない人が多い。積み立て投資を実行していれば、下落局面でこうした買い控えに陥らずに株を多めに買うことができる。

日本株市場が下落基調にある中で積み立て投資が改めて注目されているのは、こうしたメリットがあるからだ。このメリットに着目して積み立て投資を実施する人は急増している。ネット証券大手の楽天証券では、今年6月時点で同社の証券口座開設者の32%が投信の積み立て投資を設定していた。投信の積み立て投資の設定者数は前年同月に比べて59%増加。口座開設数(同29%増)を上回るペースで急増している。

積み立て投資の効用を説いて回り、「積立王子」の異名を持つセゾン投信会長CEOの中野晴啓さんは「積み立て投資には3つの長所がある」と指摘する。

1つ目の長所は投資の手間がかからないことだ。同一の金融商品を毎週や毎月といったサイクルで一定額買い付けるので、銘柄の選定や購入金額の調整といった作業が不要になる。金融機関のサービスを利用して自動で買い付ける形にすれば、手間要らずの「ほったらかし投資」を実現できる。仕事などで忙しく投資に時間を割けない人でも取り組みやすい。

長期運用で成功率が高まる

2つ目の長所は、手間がかからないので10年や20年といった長期の運用を実践しやすいことだ。長期で運用するとプラスのリターンを得る確率は高まる。積み立て投資で長期運用すれば、その恩恵を享受しやすくなる。

ここで、金融庁が「つみたてNISAについて」と題する資料で公表したグラフをご覧いただきたい。これは、1985年以降の各年に、国内外の株式と債券を毎月同額買い付けた場合の収益率の分布を示している。

保有期間が5年の場合は収益率がマイナス8%から14%まで広く分布し、運用結果が損失になるケースも出ている。一方、保有期間が20年の場合は収益率が2~8%の範囲に収まっている。プラスのリターンを確実に得られたという結果だ。

5年と20年でこうした違いが出るのは、長期では運用成績が相場の上昇基調と連動する一方で、短期ではその時々の相場の状況を受けて運用成績が大きくぶれるからだと考えられる。

3つ目の長所は、複数の株や債券に投資することで分散効果を実現しやすいことだ。これは、積み立て投資向けの投信に投資対象を広く分散したものが多いことの副次的な効果だ。世界中の株式市場の値動きに連動する投信などがある。次回から積み立て投資の効用をさらに詳しく見ていこう。

竹内さんの視点


投資の大前提、継続を実現しやすい
資産運用を成功させるためには、「投資を継続すること」が大前提です。途中でやめてしまっては、投資の果実は手に入りません。そう考えると、長期運用やほったらかし運用、分散効果を実現できる積み立て投資は続けやすい。投資で最も難しい売買のタイミングを計る必要もないため、無理のない投資が続けられるでしょう。
竹内弘樹(たけうち・ひろき)
ライフパートナーズ代表取締役。40代の兼業投資家。純利益が年10%以上増加する「中程度の成長株」で割安な銘柄に集中投資して、億円単位の資産を築いた。株式投資の情報を提供するサイト「やさしい株のはじめ方」など複数のサイトを運営する。ニックネームは「ひっきー」。

(竹内弘樹、西尾奎亮、土屋徹=ライフパートナーズ)

[日経マネー2022年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年10月号 誰でもすぐできる! 配当生活入門
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