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ファンドラップで運用益の顧客、大手8社でバラツキ

投信観測所

金融機関が顧客に代わって投資信託で運用する「ファンドラップ」は、どの金融機関を利用するかでパフォーマンスに差が出ていることがわかった。ファンドラップを提供する代表的な大手8社が公表した今年3月末時点の「共通の成果指標(KPI)」を集計したところ、平均は前年の90.2%から77.4%に下がった。公表を始めて5年目となるが、今回は特に金融機関ごとのバラツキが目立った。

共通KPIは金融庁の求めに応じ、投資信託やファンドラップを提供する金融機関が公表している指標のこと。毎年3月末時点における顧客の損益状況の分布などを横並びで比較できるように、各社が項目ごとに同じ定義で算出している。2018年に導入された。

ファンドラップで22年3月末時点の運用損益がプラスの顧客割合の高い順にランキングすると、三井住友信託銀行が98.0%でトップだった(図1)。一方、最下位の三菱UFJ信託銀行では20.0%にとどまった。

運用損益がプラスの顧客割合が前年比で増加したのは、三井住友信託銀行のみ。そのほかの7社は前年を下回った。今年に入ってロシアによるウクライナ侵攻や米国の金融引き締めなどで株式相場が変調をきたしており、ファンドラップのパフォーマンスにもその影響が出たようだ。それでもサービス開始が早かった大和証券や野村証券、SMBC日興証券は減少幅が比較的小さく、3社とも9割以上の顧客が運用益を確保した。

運用益の顧客が2割の三菱UFJ信託銀行は、2年連続の最下位となった。水準はコロナショックに見舞われた20年3月末時点(22.0%)よりも低い。同社が提供する「MUFGファンドラップ」は損失抑制をめざすコースの契約が多いこともあって、今年3月末に運用損益がマイナスになった顧客の損失率はすべて1ケタ台に収まった(図2)。ただ、保守的な運用は債券など安全資産の組み入れが多くなりがちで、低金利環境下でコストを上回るリターンを上げるのが難しかったとみられる。

金融庁は5月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」で、「高コストで安全資産の組み入れ比率の高いファンドラップについては、真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる」と厳しく指摘した。相場が不安定な今こそ顧客の資産をしっかり保全し、コストに見合った質の高いサービスを提供できるかがカギになる。

(QUICK資産運用研究所 石井輝尚)

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