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物価上昇を「見える化」 スマホを駆使

2022年版 家計管理術(2)

今月のテーマは「家計管理術」です。2022年という「物価上昇元年」にあわせ、家計簿を使った家計管理術を考えています。家計簿を使うことで、物価上昇の「見える化」が可能になります。

毎月ずっと、何かしらの値上げが続く

今年の値上げトレンドは本格的かつ連続的なものとなっています。

4月はチーズ、食用油や生麺といった食品で値上げがありました。5月はアイスクリームやお菓子が値上がりします。来月は、カップ麺や香辛料などの値上げが予定されています。

数年前までは「納豆が値上げ」のような報道があっても、これほどまでに値上げのニュースが連発することはありませんでした。

かつてはカップ麺の大手が値上げに踏み切っても、ライバル社は様子見し、すぐに追随はしませんでした。値上げをした企業に売り上げ減少の兆しが表れるかどうかを慎重に見極めながら、値上げ追随の判断をしていたわけです。

今年は複数のライバル社がほとんど同時期に値上げをしたり、他社の値上げ報道を受けて数カ月程度で追随して値上げをしたりする傾向がみられます。

22年ほど家計簿が重要になった年はない、と先週お話をしましたが、こうした値上げの影響をしっかり把握しておかないと、じりじりと赤字家計に転落します。

値上げ前後のセール うれしいが要注意

ところで、値上げ基調といっても、うまく買い物をしている人は影響を軽微なものにしています。なぜならセール価格をうまくキャッチできているからです。

ただ単純に値上げばかりだと、客数や客単価が下がる「買い控え」の懸念が生まれます。そこで、スーパーマーケットやドラッグストアの現場ではいろんなセールを展開します。

「値上げ直前、あるいは直後の値引き販売」「特定の品目の限定セール」「ポイント還元率をアップさせるセール」「割引クーポン配布」などなど、いろいろな方法で客足をつなごうとします。一見すると、値上げの影響は軽微であるかのように思うこともあります。

こうした値下げ価格を示されるとうれしいですし、上手に選択していきたいところです。しかし、セールは永遠には続きませんので注意が必要です。

なんとなくセール価格の印象を持ち続けたままその後も買い続けると、値上がり商品を手にすることになります。前回買った商品を今回もまた買う、というのはよくある消費行動だからです。

ポイント還元なども、次回以降の消費に使うことで初めて割引価格になります。「100ポイントあるから、100円分だけ買おう」とはなかなかならず、「ポイントもあるし、あれもこれも買っちゃおう」となりがちです。

買い物は楽しいものですが、今年に関しては気を引き締めて値札をじっとにらんでみてください。

家計簿で値上がり把握 「費目」の入力も

これからの家計は、なんとなく同じ生活をしていても月1万円多くかかったり、2万円赤字になったり、ということが起き始めます。例えば、月20万円を消費する家庭で、5%の値上げは「1万円の不足」となり、月40万円なら「2万円の不足」となるからです。

大項目で1000円くらいの出費増減はよくあることとはいえ、前月比増が確実に続いていくようなら、まさにそれが値上がりのサイン。「ちょっと削ればなんとかなるでしょ」と軽く考えられる範囲を超えてきた証しです。

それでは、家計簿を活用して値上がり状況を確認してみましょう。まず「大項目」の推移を見てみます。アプリを使えば合計額は自動集計してくれますので手計算は必要ありません。前月比なども画面を左右にスワイプするだけで比較できます。

ここで「食費」「日用品」のような項目で推移を確認します。「先月あるいは先々月より数千円出費が増えている!」のいったことが見える化されれば、私たちは具体的に値上げを実感することができます。

デリバリーや外食を利用したために一時的に食費が高くなる(あるいは外食などを控えたので食費がガクンと下がる)影響も勘案しながら、物価高を見極めてみます。

日用品などは、数カ月に1度購入する品目があるので、先月と今月を比較したら減少することもあります。例えばトイレットペーパーやティッシュペーパーは、0.8カ月ごと、あるいは1.5カ月ごと、のように不定期なペースで買うからです。出費ゼロの月があるとガクンと下がることもあります。

「日用品の出費が今月は大幅に増えた! 値上げの影響か?」とあせらず、内容を精査してみましょう。

家計簿アプリの自動記帳はとても便利ですが弱いところがあって、利用額合計で記帳されることです。例えばスーパーマーケットで3000円のキャッシュレス決済をすると「食費3000円」として入力されます。

いつもより高いのはラーメンの値上がりなのか、パンの値上がりなのか、はたまたヨーグルトの値上がりなのか、合計金額だけでは把握できません。

スーパーマーケットやドラッグストアの利用については、レシートを撮影して費目が残るようにしておくといいでしょう。遡って価格をチェックするときに思わぬライブラリーとして役立ちます。

スマホのメモ帳機能も併用

個別商品での値上がりが気になる場合は、メモを取ってもいいでしょう。もちろん紙のメモではなくスマホを使います。

iPhoneでもAndroidでもスマホにはメモ帳機能がありますので、「食品価格メモ」のようなタイトルをつけて、気になる価格をメモします。「店名、商品名、価格」が情報としてあればOKです。価格は税込みか税抜きかどちらかで統一します。

買い物のときは手がふさがっていることもありますので、音声入力を利用してみましょう。「スーパー○○、食パン、○○円」のように話しかけるとしっかり認識して文字に変換してくれ、なかなか便利です。そのあと「改行」と言うと改行もしてくれます。

いきなりスマホに話しかけると周囲の人に驚かれることもありますが、あとからメモを取るのは面倒ですしサボってしまいます。人の目は気にせず、サクサク入力してみてください。

すべての買い物をメモする必要はありません。値上がりが気になっている商品に絞って、チェックしてみるといいでしょう。

さて、このスマホの価格メモ、最安値探しにも役立ちます。次回は家計簿を使った日常生活費の節約術を考えてみます。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp

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