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お金について子どもと学ぶ  損得より感謝の心を

お金の自由研究(1)

今月は8月ということもあり「お金の自由研究」と題し、いくつかのテーマについて少し枠を外れて話してみたいと思います。最初はまず、親子で一緒になって夏休みの「子どもの自由研究」に取り組んでみましょう。もちろんテーマはお金です。

「世界のお金の流れ」 チョコひとつもグローバル

まず、子どもと一緒に「お金とモノ」の流れを追ってみるのはいかがでしょうか。

スーパーに出かけて野菜やフルーツの原産国を調べてみると、驚くほど多様な国・地域から届けられていることが分かります。大人はサプライチェーンとか生産コスト、利益率など難しい言葉を使って考えてしまいますが、シンプルにお金とモノの流れを追ってみます。

・原材料が作られ、工場で食品や製品が作られていく流れ
・生産地から日本に、また国内を配送されていく流れ
・店頭に並び私たちの手元に届く流れ

などを絵に描いてみると、チョコレート1つ、食パン1枚も世界中を駆け巡る大旅行をしていることがわかるはずです。

そこには、たくさんの人の手が関わっていることも分かります。何気なく食べるひとくちのチョコも、アフリカから海を渡って日本にやってきますし、配送がなければ店頭に届きません。

子どもに、そうした「流れ」はたくさんの人の力で実現されていることを話してみてください。

たくさんの人々が少しずつ利益を上乗せしていることも、理解したい重要なポイントです。私たちが店頭で支払う100円は、数円から数十円の利益を世界中の人々に支払うということでもあります。何気ない商品ひとつの背景には、お金を得て暮らしている人がいるということにも思いをはせてみたいところです。

「親の仕事の価値」 きちんと語ってみよう

家庭内での「お金の自由研究」としては、親の仕事について話してみるのもいいと思います。社会科の勉強でも色々な仕事について学ぶプログラムがありますが、「稼ぐこと」の意義、大切さにも踏み込んでみます。

私たちがもらっている給与、賞与を得る源泉についてあなたはどこまで子どもに説明できるでしょうか。簡単なようで難しいテーマです。

具体的な手取り収入額を子どもに教えろというわけではありませんが、あなたの仕事がどんな価値を社会に生み出し、どれくらいの時間を投じており、それがあなたの年収につながっていることを話してあげてほしいのです。

世の中に出回っている製品を取り扱っている会社なら具体的に話もできるでしょう。そうでない場合も、裏方として社会を支える役割について話してあげたいものです。

私の父親は銀行の営業担当でしたが、地域の夏祭りのときに招待してくれ、支店の内側をちらっと見せてくれたことを今でも覚えています。親の仕事を知ることは、子どもが自分のキャリアを将来に向けて意識していくきっかけにもなるでしょう。また、毎日の食事や服代などを生み出す源泉がそこにあるということも理解できるはずです。

お金を稼ぐことはなんら恥ずかしいことではありません。誇りを持って仕事をしている親の背中をぜひ教えてあげたいところです。

そして、もしかしたら子どもに自分の仕事の価値を語ることが自分自身のビジネスバリューの棚卸しになって、将来の課題を認識するきっかけとなるかもしれません。

「家のお金の流れ」 物価高の今こそ話し合う

家庭のお金の流れ、つまり「家計」について話し合ってみるのも自由研究としておもしろいテーマです。「日々のお金の流れ」について考える、「将来の支出がどれくらいかかり、どう備えているか」を考えるなどがテーマとなりそうです。

今は物価高ですから、生活コストの抑制が大事になっています。生活必需品として削れないものはどれか、より低コストに置き換えができる食材などはあるのか、そういった視点をもって日々の買い物と向き合ってみるのもいいでしょう。

スーパーへ子どもに買い物に行かせて、商品選びの大変さや、複数店舗の価格比較調査などをさせてもおもしろいかもしれません。

値上がりについて着目すると、単なる家計を超えた自由研究になります。食品・日用品各社のホームページから価格改定情報を収集しまとめてみるのも興味深いテーマになります。インフレがなぜ起こるのか、過去のモノの値段はどれくらいだったのか、図書館の資料などを使って比較してみてもおもしろいでしょう。

損得より感謝の気持ちを再認識

さて、いくつかの研究テーマを挙げてみましたが、「お金の自由研究」を子どもと一緒に考えるのをきっかけに、子どもとお金について語り合うのはとても大切なことです。

子どもとお金について語り合い、また学ぶときに意識してほしいことがひとつあります。それは「損得」だけに着目してお金の流れを追うのではなく、「感謝の気持ち」としてお金が流れていくのだということです。

100円の買い物にも世界のたくさんの人の頑張りが積み重ねられています。親の私たちが仕事で給与をもらえるのも、モノやサービスを購入してくれる顧客の感謝あってこそです。より質が高く、かつ安い商品を購入することができたとしたら、そこには様々な企業努力が詰まっています。

確かに紙幣を渡せばモノが手に入るかもしれません。それでも「お会計のときには『ありがとう』と言ってみよう」というような姿勢も、子どもに学ばせてほしいと思うのです。

うちの子どもは、秋葉原駅のホームにあるミルクスタンドでフルーツ牛乳を飲んだ瓶を返却するとき「ごちそうさま。おいしかったです!」と言います。その一言で、同じ消費も、「生きたお金の使い方」になるように思います。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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