株価指数先物取引 将来の売買を約束する取引
キソから!投資アカデミー 株式⑳
先物取引とは、現時点で取り決めた価格や数量で、将来売買することを約束する取引です。株式や債券のほか、貴金属や農産物のような商品(コモディティー)など様々な資産を対象にした先物があり、取引所に上場しています。
代表的な先物の一つが、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などを対象にした株価指数先物取引です。
日経平均先物を1万円で買い建てる場合を考えてみます。最終的な決済期日に、実際の日経平均が1万1000円に上がっていれば、差し引き1000円の利益を得られます。逆に思惑が外れて9000円に下がれば1000円の損失を被ります(手数料や税金は除く)。
相場の値下がりを見越して「売り」から始めることもできます。日経平均先物を1万円で売り建て、最終決済日に日経平均が9000円になっていれば1000円の利益が得られます。
先物の価格は、対象資産の価格に連動して常に上下します。最終的な決済日まで待たずに、途中で反対方向の売買をすることで持ち高を手じまうことも可能です。

先物取引にはいくつかの目的や機能があります。まず将来の相場変動から利益を得ようという「投機」です。先物は証拠金と呼ばれる必要最低限の資金を証券会社に差し入れることで取引でき、対象金額を全て支払う必要はありません。自己資金の何倍もの資金を動かせるため資金効率は高まりますが、思惑が外れた場合には損失も大きくなります。
もう一つは「ヘッジ取引」です。現物株を持つ投資家が損失を避けたいと考えた場合、あらかじめ先物を売り建てておきます。もしその後に株価が安くなっても、先物売りから生じる利益で損失を補うことができます。農作物などの生産者があらかじめ先物を売っておき、将来の販売価格を確定するという使い方も一般的です。
市場では、先物と現物の価格差に着目した「裁定取引(アービトラージ)」が日々活発に行われています。両者はその時々の需給で価格差にゆがみが出る時があります。割安になった方を買い建てるとともに割高な方を売り建てることで、最終的に価格差が解消して利益を得ることができます。
相場記事では「大口の先物買いで日経平均が上昇した」といった説明がされることがあります。例えば海外投資家が日経平均先物にまとまった買い注文を入れ、先物価格が急上昇するケースです。この際、割高に振れた先物を売るとともに、指数を構成する現物の225銘柄をまとめて買う動きが「裁定買い」です。先物の売買で相場が動くのは、このように現物資産との裁定取引が常に実施されているからです。