三菱UFJ銀行も初任給5万円上げ 実質賃上げ7%超

三菱UFJ銀行は2024年春に入社する総合職の初任給を5万円引き上げる。春季労使交渉で会社側が27日、従業員組合に明らかにした。昇格や登用、一時金を踏まえた実質値で平均7%を超える賃上げと併せて組合側に答えた。みずほ銀行とみずほ信託銀行も同日、基本給を底上げするベースアップ(ベア)2.5%の実施を組合側へ伝えた。
大手行の初任給(大卒)は20万5000円で横並びが10年以上続いてきたが、三井住友銀行は23年4月に入社する総合職の初任給を5万円増の25万5000円とする。みずほフィナンシャルグループ(FG)やりそな銀行も1年後の24年に同水準とし、大手行の初任給が25万円以上でそろう。新卒と給与が逆転しないよう入社済みの若手の賃金も引き上げる予定だ。
既存の従業員に対し、三菱UFJは基本給を底上げするベアを4年ぶりに実施する。上げ幅は非公表としている。組合側は5.5%程度の賃上げを求めていたが、1人最大10万円の支援金を含めると平均7%を超える賃上げになると説明する。みずほも8年ぶりのベアを実施。定期昇給などを考慮した実質的な賃上げ率は約6%だという。
賃上げは賃金水準を一律に引き上げるベースアップと、勤続年数が上がるごとに増える定期昇給からなる。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まった。産業界では正社員間でも賃金要求に差をつける「脱一律」の動きが広がる。年功序列モデルが崩れ、生産性向上のために成果や役割に応じて賃金に差をつける流れが強まり、一律での賃上げ要求の意義は薄れている。