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震災で追加緩和「リスク回避防ぐ」 日銀11年上期議事録

金融政策決定会合後、記者会見する日銀の白川方明総裁(2011年3月14日)

日銀は30日、2011年1~6月の金融政策決定会合の議事録を公開した。同年3月11日に東日本大震災が発生し、週明けの14日の会合でリスク資産購入を増やす追加緩和を決定。金融市場の不安払拭に向け、スピード感を重視した。一方、震災直後の混乱が落ち着くと、さらなる緩和余地が乏しい中で思うように経済・物価を回復軌道に乗せられない現実にも直面した。

当初2日間を予定していた3月の決定会合は、震災を受けて1日に短縮。開始時間も前倒しし、14日正午すぎに始まった。日銀は混乱する金融市場の資金の目詰まりを防ぐため、同日朝から市場に潤沢な資金を供給するオペ(公開市場操作)を断続的に実施。危機モードの中での開催になった。

「金融緩和を一段と強化することが適当だ」。白川方明総裁(肩書は当時、以下同じ)が決定会合の結論を半ば先取りする異例の展開で、社債や上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ基金の5兆円増額が賛成多数で決まった。先行き不安が日本列島を覆う中、「市場参加者が過度のリスク回避に走ることを防止」(野田忠男審議委員)する狙いがあった。

それでも市場の不安心理の連鎖は止まらなかった。投機筋主導の円高・株安が加速し、円相場は17日に一時1ドル=76円25銭と16年ぶりに最高値を更新した。翌18日、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が緊急の電話会議で円売りの協調介入に合意し、円高に歯止めをかけた。

震災から1カ月後の4月前半の会合では、被災地の金融機関を支援する資金供給策の新設を決めた。当面の資金需要やその後の震災からの復旧・復興の際の資金ニーズに対応する意図があった。

当時政権与党だった旧民主党内の一部では、復興事業の資金を賄うため、復興国債を日銀が直接引き受ける案が浮上。 財政法で直接引き受けは認められておらず、「愚行は絶対に避けるべきだ」(亀崎英敏審議委員)などと厳しい発言も出た。

4月後半の会合では西村清彦副総裁が「マインドのさらなる悪化で実体経済に悪影響が強まることを防ぐ観点」で追加緩和を独自に提案したが、反対多数で否決。白川日銀時代の慎重姿勢がにじんだ。

震災直後の混乱が落ち着くと、国内経済をいかに成長軌道に乗せるかが問われるようになった。6月会合では10年に始めた成長分野を対象にした資金供給策の拡充を決めた。緩和手段が限られる中で新たな手法を模索する姿は、現在の日銀にも通じる。

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