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NISA戦略 残り3カ月、今年はどうする?

知っ得・お金のトリセツ(95)

早いもので今年も間もなく残り3カ月。流行語大賞ノミネートとまではいかないが、金融・投資まわりで注目を集めた今年の言葉のひとつに「NISA(ニーサ)」がある。少額投資非課税制度、つまり本来ならリターンから取られる20%強の税金が一定の額まで免除される投資の優遇口座だ。政治のイニシアチブで急きょ、抜本拡充が検討されており、つい最近22日にも岸田文雄首相は再び訪米先のスピーチで力説した。「NISAの恒久化が必須だ」

使わないと消える今の非課税枠

そんな抜本拡充の動きに胸ときめかせつつも、今できることとして粛々と従来制度にのっとって「今年のNISA戦略」に向き合っている人もいるだろう。自分もそうだ。というのもまさに一年のこの時期、9月末はNISA暦上の2つの締め切りが意識されるタイミングだからだ。

1つ目は単純に「残り3カ月」という今年の時間切れ。「2022年枠」をどうするか? 今のNISA非課税枠は使わなければただ消えるだけの仕組み。それじゃもったいないと例年、年末に向けて「駆け込みNISA」意欲が高まりがちなのだ。

手元にまとまった資金がある場合、一番手っ取り早い駆け込み先は一括投資が基本で投資対象も幅広い一般NISAだろう。だが、非課税枠が年120万円と大きい半面、期間は5年と短いので2027年に取らなくてはならない「出口戦略」に思いを致す必要がある。売却するか、課税口座に移すか、次のNISA枠にロールオーバー(移管)するか……。その時、自分の資金需要は? 投資対象の価格は一体? 複雑だ。

10月に入ると2つのNISAの切り替えは不可に

足元の金融市場の混乱に恐れをなし、つみたてNISAへの切り替えを考えている人もいるだろう。金融庁が認定した投資信託を使い、定時定額で毎月積み立てを行う堅実なスタイル。非課税投資枠は年40万円と小さいが非課税期間は20年と一般NISAの4倍。それだけの長期投資であれば報われる可能性も高まる。

2つのNISAは同じ年に併用はできず、どちらか選ぶ必要がある。そしてその切り替えは年に1度だけ可能で、9月末が締め切りだ。昨年までは一般NISAを使っていても、今年に入ってまだ投資を行っていなければ、切り替えは可能だが9月末までに手続きが完了している必要がある。10月に入ると今年はもう2つのNISA間の切り替えはできず(「つみたて→一般」の切り替えも同様)、来年1月からの予約扱いとなる。

「総合NISA」は朗報だが……

こんなモザイクのようなNISAワールドに突如登場したのが金融庁による2023年度の税制改正要望だ。制度を恒久化して複数あるNISAをつみたてNISAを軸に一本化する。恒久化されて、新たに投資が可能な期間と非課税で運用できる期間という2つの期限を意識する必要がなくなれば、これまで「縦軸」と「横軸」で複雑に管理していた「その年の非課税枠」の考えが不要になる。複雑さを醸すロールオーバーや2つのNISAの切り替えも考えずにすみ、枠惜しさの駆け込み投資とも無縁だ。金融庁はいわば「総合NISA」として非課税投資額を生涯にわたって残高で管理する仕組みを提唱している。

とはいえ、新制度がいつから・いくらの規模で始まるかは今後の調整次第。一般NISAが終わり新NISAに移行するはずだった24年からという声や金融機関のシステム整備を考えれば25年が現実的という声もある。2年以上も様子見するわけにもいかない。それまでの投資分が新制度にいかに反映されるかは分からないが、淡々と長期・分散・積み立て投資を続けるのが唯一の正解だろう。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。
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