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実は日本株の25%が10倍高 発掘する4つのポイントは

波乱相場は仕込みの好機 テンバガーの見つけ方を探る

ロシアのウクライナ侵攻によって、ボラティリティー(変動率)が一段と高まり、不安定な展開が続く株式相場。だが見方を変えれば、相場全体が下落して割安な銘柄が続出する局面は、有望株を仕込む好機でもある。
調整局面を好機として生かすなら、株価が10倍以上に上昇する大化け株の候補を狙うのも一考だ。購入時点から価格が下落しても、それで生じた含み益を帳消しにして大きな利益を上げることも期待できるからだ。そこで10倍株を達成した銘柄の特色を分析し、有力候補を見つけ出すポイントを探った。

「テンバガー(Ten Bagger)」という言葉を見聞きしたことはあるだろうか。価格が10倍以上に上昇する大化け株を指す米ウォール街の業界用語だ。

この言葉を日本で広めるきっかけをつくったのは、米資産運用大手のフィデリティで活躍した伝説のファンドマネジャー、ピーター・リンチ氏だ。世界的なロングセラーとなった同氏の著書『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)を通じて、テンバガーは日本にも浸透した。

リンチ氏はこの著書で 「アマチュアの個人投資家はプロのファンドマネジャーに対して優位性を持っている」と指摘し、「(個人投資家が)自分の働いている業界の変化や、消費者としての情報を意識的に利用すれば、10倍になる株を見つけられる」と力説。企業の利益見通しや事業モデルを分析して銘柄を選び、長期保有する成長株投資の要諦を解説した。

スゴ腕たちの4つの共通点

「本当に個人投資家にそんな優位性があるのか」。こう疑問を抱く人もいるだろう。だが、実際に日経マネーが取材してきたケースを振り返っても、株式投資で1億円を超える資産を築いた個人投資家には、成長株の長期保有で複数の大化け株をものにして資産を拡大させた人が多い。

こうしたスゴ腕投資家たちの投資行動には、共通点がいくつかある。まずは相場全体の底入れを見計らって、連れ安して値頃になった有望株を仕込んでいる点だ。

東証1部の騰落レシオや日経平均株価の25日移動平均線からの乖離率、信用評価損益率といった指標で目安を設定し、相場の底入れを見極めようとする。その中で、多くの個人投資家が信頼を寄せているのが、「日経平均の構成銘柄のPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れたら底入れする」という目安だ。

ここで下のグラフをご覧いただきたい。日経平均とPBRの相関性が見て取れるだろう。日経平均が下落してPBRが1倍を割れても、その状態は長く続かずに反発し、PBRは再び1倍を上回っている。こうした過去のデータから、「鉄板の目安だ」とスゴ腕の個人投資家たちは口をそろえる。

日本株は海外株に連動して年初から大きく下落。ロシアのウクライナ侵攻が伝わった2月24日には、日経平均は節目の2万6000円を割り、2万5970円の昨年来安値を付けた。だが、日経平均の構成銘柄のPBRは年初から一度も1倍を下回っていない。相場の調整に伴う本格的な買い場の到来はまだ先かもしれない。

相場が底入れしたら有望株を買い向かう。そのために日頃から購入の候補となる有望株を探しておく。そして、有望株を定期的に点検して、有望でなくなった銘柄は入れ替える。このような形で有望株の候補を常にプールしておくのも、スゴ腕たちの共通点だ。

有望株の点検で重点的に調べるのは、その企業の成長シナリオに狂いが生じているかいないか。狂いが生じていなければ、企業の成長に伴って株価が長期的に上昇するという見方を崩さず、短期的に株価が下落しても持ち続ける。一方で、成長シナリオに狂いが生じて成り立たなくなったら、含み損が生じていても売却して他の有望株に乗り換える。こうした売買スタンスでも、多くのスゴ腕投資家たちは共通している。

実は日本株は10倍株の宝庫

「そもそも日本株にテンバガーになる銘柄なんて、そんなにないのでは」。こういぶかしむ人もいるかもしれない。実は日本株はテンバガーの宝庫だ。

2008年9月に起きたリーマン・ショック。この歴史的な暴落の後に付けた最安値から価格が10倍以上に上昇したことがある銘柄は、今年1月末時点で946銘柄。同時点で東証の4市場(1部・2部、マザーズ、ジャスダック)に上場していた3769銘柄(外国企業を除く)の4つに1つがテンバガーを達成していた。この946銘柄の特徴を分析して、未来のテンバガーを発掘するポイントを見つけ出そう。

946銘柄の上昇率の内訳を分析すると、価格が20倍以上に上昇した銘柄の数は405銘柄で、全体の42.8%に達した。テンバガーの4割超は、10倍高の時点で購入しても、そこから2倍高以上が期待できたわけだ。さらに、価格が100倍以上に上昇した銘柄の数は、47銘柄あった(5.0%)。テンバガーの20銘柄に1銘柄は、10倍高の時点から10倍高を目指せたことになる。

最安値からピークまでの上昇期間を調べると、946銘柄の平均は8.2年。5年以上が946銘柄の8割超に当たる762銘柄に上った。テンバガーを達成する大化け株の値上がりを十分に享受して資産を大きく増やすには、5年以上の年月が必要とされることになる。長期保有の重要性が分かるデータだ。

発掘のポイント① 業種を絞り込む

業種別の内訳を見ると、テンバガーの数は「情報通信」と「サービス」の2つが他の業種を大きく引き離している。経済のサービス化。業種を問わずに進むデジタル化。2つの長期的な産業トレンドの中核を担う業種で、より多くのテンバガーが誕生していることが見て取れる。この2つの産業トレンドは不可逆的な潮流だ。今後も情報通信とサービスの2業種から多くの10倍株が出現するだろう。2業種を軸に有望株を探すのは効率的な探し方の一つになる。

発掘のポイント② 時流の追い風を意識する

次のリストは、上昇率最上位10銘柄を抽出し、価格の上昇を後押しした時流を探ったものだ。いずれも、最先端のテクノロジーが絡む時代の大きな変化の追い風を受けていることが読み取れる。未来のテンバガーの発掘でも、こうした時流を意識して銘柄を吟味することが欠かせない。

発掘のポイント③ 時価総額の小さい成長株を選ぶ

3番目のデータは、最安値時点の時価総額だ。50億円未満が654銘柄と全体の69.1%を占めた。時価総額が小さな企業ほど伸びしろが大きい。時価総額の小さい企業の中から、事業の成長性が高い会社の株を探し出すのも、効率的な発掘法になる。

発掘のポイント④ IPO銘柄に的を絞る

最後の4番目のデータは、上場からの年数だ。20年未満が476銘柄と、上場から年数がたっていない"新参"銘柄が全体の半数を占めた。さらに02年以降の各年のIPO(新規株式公開)銘柄に占めるテンバガーの割合を分析すると、過半で3割を超え、07年、08年、10年の3年間はIPO銘柄の2社に1社が10倍高を達成していた。

14年以降はテンバガーの比率が2割を切っているが、これは上昇期間の途上でこれからテンバガーになるものがあるからだろう。IPOから日が浅い"新参"銘柄に的を絞ると、テンバガーを手にする確率が高まると見てよさそうだ。

(中野目純一)

[日経マネー2022年4月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年4月号 中長期でがっちり儲ける 次世代10倍株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/2/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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