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「所得」に色はない 消費増につながる金融所得増

積立王子への道(40)

投資の世界で「積立王子」のニックネームを持つ筆者が、これから長期投資に乗り出す後輩の若者にむけて成功の秘訣を伝授するコラムです。

日本の「豊かさ」は世界2位から23位に転落したんだ

平成時代が始まった頃、確かに日本経済は世界をしのいでいた。高度経済成長は終わったが、米国に次ぐ世界第2の経済大国だったし、株式市場の時価総額も米国を上回っていた時期さえあったんだ。ちなみに生活者の総体的な豊かさを示す「国民1人当たり国内総生産(GDP)」でみると、2000年の日本のそれは約3万9000ドルで米国の3万6000ドルやドイツの2万3000ドルを上回って主要40カ国のなかで世界2位だった。

ところが日本が「デフレ病」を患ったことで、20年後の2020年には日本が約4万ドルとほとんど変わらなかったのに対して、それなりに経済成長が続いた米国は1.7倍に、ドイツは2倍に増加している。今となっては欧米主要国にすっかり水をあけられて世界23位にまで落ち込んでしまったのだ。

消費者のデフレマインドはコロナで一段と悪化している

そして直近――。新型コロナウイルス禍で世界全体で経済活動が停滞を余儀なくされる中でも、米国景気はいち早く回復し、次いで欧州でもリバウンドが本格化し始めている。リベンジ消費の効果もあって、需要増大につれて物価が上昇するという健全なインフレ環境にある一方、日本はどうだろう? コロナ対応に後れを取ったばかりか、デフレ基調にさえ逆戻りだ。20年以上続いたデフレ構造下で、消費者の固い財布のひもは行動文化として定着さえしてしまったようにみえる。所得が増えないからこそ、消費がより安いモノやサービスを志向するわけで、欧米に水をあけられた所得を増やすことこそが、デフレ脱却の処方箋であることは間違いない。

金融所得が増えれば消費意欲も増す

しかし実体経済の成長力は長く世界に劣後したままで、経済成長加速の特効薬はない。経済成長による勤労所得増が期待できないからこそ、別の所得を拡大させることに目を向けるべきなんだ。それこそが我ら長期投資家が既に実践している「金融所得」を積み上げていくことだ。「iDeCo」(個人型確定拠出年金)や「つみたてNISA」(積み立て型の少額投資非課税制度)を有効活用して、「長期・積立・分散」の投資行動3原則を実践しながら、資産形成へと行動する生活者がどんどん増えていけば、国全体のマクロでみても金融所得が積み上がる。

これが生活者の行動文化として一般化すれば、サラリーマンでも給料以外に資産運用から得られるリターンが加わり、トータルで所得が拡大する。そうなれば消費意欲は高まるはずで、おのずとデフレマインドも解消されていくだろう。「積立王子」たるボクがずっと心血を注いで長期投資をとなえ続けているのもそのためなんだ。さあ、ハジメくんもいろはちゃんも周りを動かすべく一緒に行動しよう!

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信株式会社代表取締役会長CEO。1963年生まれ。87年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ、運用責任者としてグループ資金の運用等を手がける。2006年セゾン投信(株)を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事。一般社団法人投資信託協会副会長。積み立てによる長期投資を広く説き続け「積立王子」と呼ばれる。『預金バカ』など著書多数。

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積み立て投資には、複利効果やつみたてNISAの仕組みなど押さえておくべきポイントが多くあります。 このコラムでは「積立王子」のニックネームを持つセゾン投信会長兼CEOの中野晴啓さんが、これから資産形成を考える若い世代にむけて「長期・積立・分散」という3つの原則に沿って解説します。

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