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値上げラッシュに備える 家計見直しプロの技

物流コストの上昇や資源価格の高騰などから、生活必需品や身近なサービスの値段が上がっている。新型コロナウイルス禍で新しい生活様式へのシフトが進み、支出の内訳が大きく変わる中での物価上昇を乗り越えるには、家計を丁寧に見直し、無駄な支出を減らす努力が不可欠だ。家計のプロに、効果的な家計の見直し方と支出削減のコツを聞いた。

総務省が発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年同月比で0.5%上昇した。4カ月連続で上昇が続く。足元のCPIは携帯電話の大手キャリアが打ち出した格安プランの影響を強く受けており、それを除けば物価上昇率はさらに高くなるとの指摘も多い。

資源高などを背景に、光熱費もかさむ。品目別の価格指数を前年同月比で見ると、電気代・ガス代・ガソリンはいずれも10%以上の上昇率だった。原材料費の高騰で、食用油からスナック菓子まで、おなじみの食品の値上がりのニュースも相次ぐ。日々の暮らしに必要なものの価格が軒並み上がる中、家計の健全性を維持するには、支出の把握と無駄の見直しが必要だ。

「保険、携帯通信料、サブスク」の見直しから

家計の支出は、主に2種類に分けられる。毎月・毎年などの単位で一定の額を支払う「固定費」と、状況によって支出額の変化が大きい「変動費」だ。

家計の見直しはまず、固定費から始めるのが基本だ。固定費には支出額が大きいものが多い上、一度契約内容を変更すればその後はずっと費用が抑えられるため、支出の大幅な削減につながりやすい。

ファイナンシャルプランナー(FP)の長尾義弘さんは、節約効果が大きい「①保険②携帯電話通信料③サブスクリプション(定額課金)サービス――の3つを中心に見直すのがよい」とアドバイスする。

保険の見直しでは、家族全員が加入している生命保険などを棚卸し。保障内容や付加している特約を細かく確認しよう。医療費は公的保障でカバーできる範囲も広い。また、死亡保障は子供の成長などライフステージによって必要な備えも変わってくるので、定期的に見直すことが重要だ。

携帯電話通信料は、大手キャリアも格安プランを提供するようになり、選択肢が増えている。家族で安いプランに乗り換えれば大幅な節約効果が期待できるので、長年見直しをしていない場合は優先的に取り組みたい。

サブスクは、コロナ下の今こそ「要・不要」の再検討が必要だ。在宅時間が増え、動画配信サービスなどを複数登録したという人もいるだろう。節約アドバイザーの丸山晴美さんは、「サブスクは、解約法をわざと分かりづらくする手法が取られていることも多く、そこで挫折しがち。一度まとまった時間を取って、じっくり見直してみるのがいい」とアドバイスする。

保険・携帯代・サブスクの「3大固定費」の確認が終わったら、光熱費を見直そう。足元で価格上昇が続く今こそ、対策を講じたい。「電気代とガス代は、同じ会社にまとめるとセット割が適用されて安くなる場合があり、中にはポイント還元などのサービスがあるものも。積極的に活用するといい」と長尾さん。余分な電力を使い過ぎないこまめな工夫も有効だ。例えば、「リビングなどの広い部屋で1人でいる時は、むやみにエアコンを利用するのではなく、電気毛布などを使ったほうが費用を抑えられる場合がある」と節約アドバイザーの和田由貴さんは指摘する。

「ちりつも出費」を防ぐ

固定費の見直しを終えたら、食費やレジャー費などの変動費を見直そう。変動費を減らす鉄則は、「無駄買い」を防ぐ仕組みをつくること。例えば家計に占めるウエートが大きい食費は、「予算を決めて食材をまとめ買いする」「可能であれば閉店前の値引き品の多い時間にスーパーへ行く」といった工夫で支出を抑えることができる。忙しく、つい外食やコンビニ弁当で夕食を済ませがちな人は、ネットスーパーを活用するのも手だ。「『いかに安く買うか』よりも、『いかに食材を使い切るか』が大切。"特売"の文字に目を奪われて、使い切れない量の食材を買い込んでしまうことには注意したい」と和田さんは助言する。

「会社帰りのコンビニ通い」「深夜のネットショッピング」など、日常の行動と結びつけて習慣化している無駄買いにも注意が必要だ。1回500円ほどの出費でも、平日毎日通っていれば月1万円、年間では12万円と額は膨らむ。「ちりも積もれば山となるとは分かっていても、習慣を修正するのは難しい。まずは買い物レシートを1日5分眺め、『本当に必要だったか』と自分に問いかけることから始めるのも一案」と丸山さんは話す。

家計管理のコツは「聖域を設ける」こと

「年収が高くても、支出管理ができておらず、その結果お金がたまらない人は多い」と指摘するのはFPの深野康彦さん。そうしたケースでは、「何に使ったかが分からない使途不明金をなくすことが、家計健全化への近道だ」と話す。使途不明金をなくすには家計簿を付けるのが王道だが、続けられない人は、スマホの家計簿アプリなどを活用するのもいいだろう。

ただ「家計をスリム化しよう」と意を決してやみくもに切り詰めるあまり、すぐに挫折してしまう人も少なくない。「節約を続けるコツは、『聖域』を設けること」と深野さん。趣味にはお金を費やしたい、美容費だけは守りたい、子供の教育にはお金をかけたい――など、「切り詰め過ぎない」箇所もあらかじめ決めておくことが大切だ。

値上げラッシュに見舞われる中にあっても、自分や家族にとって優先度が高い費目に使えるお金をしっかり確保するために、メリハリのある家計運営を目指したい。

(大松佳代)

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