金の国内小売価格、9カ月ぶり最高値 海外高が波及

金地金国内最大手の田中貴金属工業は25日、金の小売価格を1グラム8977円と公表した。前日に比べて20円(0.2%)高い。海外の金先物価格上昇が波及し、国内の小売価格指標として約9カ月ぶりに過去最高値を更新した。
金の国際価格指標となるニューヨーク先物は1トロイオンス1930ドル前後と9カ月ぶりの高値圏にある。米国ではインフレに沈静化の兆しが出ており、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め姿勢が緩むとの見方が浮上。金利のつかない金の投資妙味が高まるとの期待から、2022年11月を底に上昇基調が続いている。

田中貴金属によると、25日の正午時点で来店客の9割は売却に動いているという。もっとも「円安や海外の金高が今後も続けば、国内の金価格の先高観は強い」とみる投資家もいるようだ。これまでの販売価格の最高値は22年4月20日につけた8969円で、買い取り価格も同日につけた8860円だった。
日本取引所グループ(JPX)の大阪取引所に上場する金先物も25日、一時1グラム8098円まで上昇して7カ月ぶりの高値をつけた。