金とドルの交換停止とは 変動相場制の契機
きょうのことば
▼金とドルの交換停止 1971年8月に当時のニクソン米大統領が金とドルの交換停止を発表し、為替市場が金と交換できるドルを前提とした固定相場制から変動相場制に変わるきっかけとなった。「ニクソン・ショック」と呼ばれる。それまでの「ブレトンウッズ体制」では1トロイオンス(約31グラム)の金を35ドルの固定したレートで交換していた。

金は希少性や劣化のしにくさから万人に価値が認められた実物資産で、紙幣の信用を裏付ける存在として使われてきた。ところが米国など世界の経済成長が加速するにつれて金の産出が追いつかなくなる。さらに米国で国際収支が悪化し、金の流出が深刻になると、金の裏付けが通貨発行の制約として意識された。
金・ドル本位制の崩壊後も米国の経済力を背景にドルは基軸通貨の座を維持した。通貨発行などを通じた金融政策の自由度も増した。米国の通貨供給量(M2)、現金や預金など)はニクソン・ショック前の約30倍に拡大。金に対する通貨の価値が薄まっただけでなく、マネーの膨張で金融危機が増幅されやすくなった側面もある。