損保大手、ウクライナ近海の貨物保険停止 6月から

損害保険各社がウクライナ近海を輸送中の貨物の損害を補償する外航貨物海上保険を停止する。6月から同海域を航行する際は事前に損保会社に通知することを義務付け、原則として補償を見合わせる方向だ。海上輸送の前提となる貨物保険を停止する動きが広がっており、ロシアを取り巻くビジネス環境は一段と厳しさが増す。
東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の国内損保3社が黒海やアゾフ海のウクライナ領とロシア領を行き来する貨物の海上輸送にかかる保険を停止する。戦闘の激化で同海域を航行するリスクが高まり、再保険市場が貨物保険の引き受けに慎重になっていることに対応する。近く契約の見直しを荷主に打診する。
外航貨物海上保険に加入する企業は毎月、前月に海上輸送した貨物の品目や数量、輸送先の地域などを損保会社に事後に報告する。損保会社は企業からの報告をもとに前月分の保険料を精算する仕組みだ。ウクライナ近海を航行する際も事後の報告で契約を有効としてきたが、6月から同海域では航行前に補償の可否を判断する。補償上限額が少額など契約を認める場合はあるが、原則として保険提供を停止する。
世界最大級の保険市場である英ロイズ保険組合を中心とした英国の委員会は4日付で「リスクの高い地域」をウクライナ近海などからロシア全域に広げた。日本の損保各社は20日から同海域で船舶の沈没リスクなどを補償する船舶保険で高めの保険料を設定していた。