植田和男氏が語った異次元緩和 「副作用否めず」
日銀正副総裁候補の発言まとめ読み

次の日銀総裁候補となった植田和男氏は衆院が24日に開いた所信聴取で、現行の金融緩和を続ける姿勢を強調した。黒田東彦総裁は約10年に及ぶ異次元緩和でデフレ脱却に取り組んだが、足元では市場機能の低下など副作用が目立つ。植田氏は緩和策の検証を「必要に応じて検討したい」との意向を示した。副総裁候補の内田真一氏、氷見野良三氏も同日の所信聴取で緩和を継続する意向を示した。正副総裁候補の発言をまとめ読みで振り返る。
緩和は継続、効果は検証
植田氏は「日銀が行っている金融政策は適切。金融緩和を継続し、企業が賃上げできる環境を整える」と表明。2%の物価目標は「持続的・安定的に達成するには時間がかかる」と説明した。金利を抑える重要な政策ツールである長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については「様々な副作用を生じさせている面は否定できない」とした。黒田総裁が主導してきた緩和策の検証は「必要に応じて検討していきたい」と前向きな姿勢を示した。
緩和の副作用、政策修正は?
植田氏は金融緩和の継続に向け、副作用の軽減につながる政策修正を検討する考えもにじませた。
政府・日銀の共同声明「当面変える必要はない」
見直し論も浮上していた政府と日銀の共同声明について、植田氏は「ただちに見直す必要があるとは今のところ考えていない」と述べた。同日記者会見した岸田文雄首相は、植田氏の国会での発言を巡り「政府として特段違和感のある内容はなかった」と回答した。
副総裁候補・内田氏、氷見野氏も緩和継続

副総裁候補の内田真一氏、氷見野良三氏への所信聴取も行われた。両氏は緩和を継続する意向を示した。
「総仕上げの5年に」所信要旨
植田氏の所信要旨は以下のリンクから。

日銀の総裁に、経済学者で元日銀審議委員の植田和男氏が就任しました。黒田東彦氏の後任として、10年続いた異次元緩和を引き継ぎ、段階的な修正を探る役割を担います。
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