スマホ料金を安く 3大キャリアのプラン見直しのコツ

総務省の家計調査(総世帯)によると、2021年の1世帯当たりの携帯電話通信料は年平均で10万3096円。単純計算では月8500円以上の支出となるが、「スマホの料金プランの選択肢は広がっており、見直し余地のある人は多い」と、ファイナンシャルプランナー(FP)の飯村久美さんは話す。
料金は同水準だが内容には細かな違いも
選択肢が広がる大きなきっかけとなったのが、昨春、NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの3社が一斉に発表したオンライン専用プラン。オンライン専用とすることで、月20ギガバイト(ギガは10億、GB)の通信量で3000円以下の格安料金を実現した。「通信料金は抑えたいが、大手キャリア以外のサービスは不安」といった需要を取り込んでおり、ドコモの「ahamo(アハモ)」の契約数は300万件に迫る勢い。総務省が発表した、21年9月末時点での仮想移動体通信事業者(MVNO)のSIMカード型(いわゆる格安SIM)の契約数は1531万件で、その約2割の規模に匹敵する。KDDIの「povo(ポヴォ)」も100万件を超えるなど、オンライン専用プランは順調に契約数を増やしているという。
例えば月20GBを利用する場合、3社のオンライン専用プランの料金は2700~2970円(下表)。これまで月3~7GBが上限の通信プランに入っていた場合、通信に使えるデータ量が増えた上、料金も月数千円安くなる可能性がある。

料金水準に大きな違いはない一方、各社のサービスには細かな違いもある。例えばahamoは月2970円で他社より割高に見えるが、1回あたり5分以内の通話が回数無制限で利用できるサービスが含まれる。一方、povoやLINEMOで同様のサービスを利用する場合は、それぞれ月550円料金を追加する必要がある。
スマホ料金の見直し相談を手掛ける携帯見直し本舗の鮎原透仁さんは、「海外での利用機会が多い人や、ちょっとした電話をかけることが多い人はahamo、プランの自由度を重視する人はpovo、LINE電話やビデオ通話を長時間利用するのが日常の人はLINEMOといった選び方ができる」とアドバイスする。
オンライン専用プランの弱点を知る
割安さが魅力のオンライン専用だが、従来プランと比べ不便な点もある。オンライン専用プランではカバーしていないサービスがあるからだ。乗り換えを検討する場合、「まずは必ず、デメリットを把握することから始めたい」と飯村さんは指摘する。
代表的なデメリットは、原則、店舗でのサービスが受けられないという点だ。申し込みの手続きやサポートはオンラインのみとなっているため、自分で調べてプランを決め、初期設定やデータの移行などを済ませる必要がある(ドコモは有料で店頭手続きが可能)。
「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などといったキャリアメールが原則使えないことも知っておきたい。キャリアメールの代わりに、フリーメールなどを使う必要がある。ただし21年12月から、大手3社でキャリアメールの「持ち運び」サービスが開始された。キャリアメールを引き継ぎたいという人は定額料金を払えば、他社のオンライン専用プランに乗り換えた場合でも使い続けることができる。
見逃しがちなのが、留守番電話サービスが利用できないこと。電話に出られなかった時に、相手に留守番メッセージを残してもらうことができない。通話中に他の電話がかかってきた際に、一旦保留にして通話相手を交代する「割り込み通話」や、自宅などにかかった電話を指定の番号に転送する「電話転送」といったサービスを受けられない点も押さえておこう。
さらに、「オンライン専用プランには対応していない機種があるので注意したい」とITジャーナリストで、スマホの料金プランの動向にも詳しい石川温さん。乗り換えを検討している人は、使用している端末がオンライン専用プランに対応しているか、各社のサイトで事前に確認しておこう。

料金プランの見直しは定期的に
大手キャリアのスマホはこれまで、契約から2年間など一定期間内に解約すると「契約解除料」(いわゆる違約金)を払う必要があったが、ドコモは21年10月、ソフトバンクは22年2月、KDDIも22年3月末で違約金制度を廃止した。大手キャリア3社のいずれにおいても「2年縛り」といった乗り換えの制約が解消されたことで、他社プランを検討しやすくなり、見直しの幅が広がった。
スマホの料金プランは、「知らない間にサービスが更新され、より安いプランが見つかることもある」と飯村さん。新プランが発表されやすい春など、定期的にスマホ料金見直しのタイミングを決めておくといいだろう。
(大松佳代)
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/3/19)
価格 : 750円
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