投資が学べて仲間も見つかる 個人主宰の勉強会の効用
投資の仲間はこうつくる(上)

自分に合った勉強会をネットで探す

神戸などで「神戸投資勉強会」を主宰する個人投資家のキリンさん(ハンドルネーム)は、「勉強会には初心者からスゴ腕まで幅広い投資家が参加している。自分の考えに対して意見をもらえたり、他人の考え方に触れたりできる」と勉強会の様子をこう語る。
また、神奈川県などで「湘南投資勉強会」を主宰する個人投資家のkenmoさん(ハンドルネーム)は、「生き馬の目を抜く投資の世界でライバル同士が情報交換などあり得ないと考えていたが、参加してスゴ腕の投資家と話をすることで、自分がいかに井の中の蛙だったかを思い知らされた」と勉強会の利点をアピールする。
下表は今回話を聞いた個人投資家が主宰する勉強会だが、日本各地では様々な勉強会が開催されている。自分の投資スタンスに近い人が集まる勉強会が見つかれば理想的だが、まずはいろいろな会に参加してみて、自分に合う会を探してみるのもいいだろう。多くの投資勉強会がツイッターで告知を行っている。

コロナ禍以降はオンラインでも同時開催したり、動画をアップしたりする勉強会も増え、気軽に会の様子を知ることもできる。
知らない人ばかりの会に参加するのは気後れするかもしれないが、名古屋と東京で勉強会を主宰する個人投資家のアイルさん(ハンドルネーム)は、「最初は好奇心にあらがえず恐る恐る参加した。話題に付いていけない部分もあったが投資話は本当に楽しかった」と話す。物おじする必要はない。
スゴ腕投資家の視点を学ぶ好機
勉強会の中身は会によって異なるが、①上場企業の個人投資家向けの説明会②参加者同士の交流会③有名な個人投資家などによる講演や座談会――などが多い。主宰者によると最も人気があるのは有名投資家の講演など。初心者からスゴ腕投資家まで幅広い参加者が集まるという。
一方、企業説明会の参加者は登壇する企業に関心のある人が中心になる。実は企業説明会は投資の腕を磨く絶好機でもある。
「最新の業界動向や業績に対する考えなどを経営者から直接聞ける機会はなかなかない。そうして蓄積した知見は、他社への投資を検討する時にも役立つ。創業経緯に共感できれば株も買いやすくなるし、長期投資にもつながる」(アイルさん)
また、企業説明会の参加者はレベルが高く、質疑応答の時間は気付きが多いという。
「他の投資家が会社のどこを見ているのか、どんな話を引き出そうとしているのかを観察すると非常に勉強になる」(kenmoさん)
名古屋などで投資の勉強会「KabuBerry」を主宰するyamaさん(ハンドルネーム)は、「上級者の質問の切り口は、他の会社を見る時の気付きにもつながる。横展開できるテクニックだ」と語る。
また、どうせ参加するなら積極的に手を挙げて質問するようにしたい。「質問の準備には会社のことを調べ、仮説や疑問を持つ必要がある。この作業の繰り返しが投資脳の進化につながる。手を挙げることで記憶にも残る」(キリンさん)
交流会は能動的な態度で
投資家同士の交流会の中身も勉強会によって異なる。「投資をテーマにした知的好奇心を刺激するおしゃべりを楽しむ」(yamaさん)会もあれば、「発掘した銘柄を持ち寄り、銘柄の特徴や有望だと考える理由を発表した後、皆でその銘柄について討論する」(キリンさん)会もある。スタイルは様々だ。
ただ、どんな内容でも、交流会を有意義なものにするには能動的な態度での参加が欠かせない。
「何も話せることがないと、交流会が特定の参加者による独演会になってしまう。それが身になるのかは正直疑問」(yamaさん)
自分が目指している投資スタイル、銘柄を探す時の着眼点、「有望だ」と考えている銘柄とその理由くらいは言えるようにしておきたい。
交流会で絶対に避けてほしいと主宰者が口をそろえるのが、自ら情報を発信せず、他の参加者から有望銘柄の名前だけを聞き出そうとする態度だ。
kenmoさんは「交流会の情報交換は対等な関係が基本。銘柄名を聞くだけでは上達しない」と語る。
次回は勉強会に参加する前の事前準備や、勉強会終了後に開催されることが多い2次会の注意点を紹介する。
(本間健司)
[日経マネー2023年1月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
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