円上昇、一時129円台 米欧銀行不安でリスク回避の買い
24日の外国為替市場で円が対ドルで上昇し、一時1ドル=129円台と2月上旬以来、およそ1カ月半ぶりの円高・ドル安水準をつけた。米銀の経営破綻をきっかけに米欧の金融システムへの不安が強まるなか、低リスク通貨とされる円の買いが膨らんでいる。
円は米銀シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻する前の8日には1ドル=137円台後半で取引されていた。SVBの経営破綻やクレディ・スイス・グループを巡る懸念など欧米の銀行不安が広がったことで、金融システムが相対的に健全な円がマネーの逃避先として買われた。2月末比の対ドルの上昇率は主要通貨の中で最も大きく、様々な通貨に対して円高が進んでいる。
3月は日本企業の多くが決算期末に当たる。輸出企業などが円建てで利益を確定するために海外資産を円に戻す動きが円相場を押し上げているとの声もある。
米連邦準備理事会(FRB)は21〜22日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを決め、23日には英国とスイスの中央銀行も政策金利を引き上げた。金融システムへの不安が残る中で各国がインフレ抑制の姿勢を示し続けており、景気悪化への警戒感も一段と意識されている。
リスク回避の買いは日本の国債にも波及している。海外勢による前週の日本の中長期債の買越額は4兆円を超え、週間として過去最大となった。
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