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退職金をたくさんもらう シンプルな2つの方法

今から考えたい「退職金」(4)

夫婦ともに正社員で働くことが将来の退職金を増やすことにつながる=PIXTA

今月は若いうちから知っておきたい退職金の基本をまとめてきました。最後にアドバイスするのは「退職金をたくさんもらう方法」です。

退職金をたくさんもらう方法はなんでしょうか。今月のコラムを参考に、自分の会社の退職金規定を読み込んだ人はおわかりだと思います。

しっかり働く これが退職金アップの第一条件

まず、ひとつの要素として長期勤続があります。長く働いた人には基本的に多くの退職金が支給されます。勤続20年で退職するより、22歳から60歳まで勤続38年のほうが退職金は多くなります。

これは単純な勤続年数以上に増額されます。短期離職者にはペナルティーがつくことも多いため、2倍長く働くと受取額は2倍以上になるのです(規定は会社ごとに異なりますが2.5倍以上になると思います)。

しかし、それより重要なのは「会社に貢献した人は、退職金も多くもらえる」という基本的な仕組みです。管理職に昇進したり、役員になったりした人には多くの退職金が支給されます。その責任の重さが賃金や賞与だけではなく、退職金にも反映されるからです。

たくさん退職金や企業年金をもらいたいと思うなら「今の仕事をしっかり、がんばる」ことが一番の近道です。

退職金というと遠い未来のことのようですが「今」の積み重ねが、実はその未来の受取額を決めているのです。

共働き夫婦のW退職金、「老後に2000万円」に匹敵

次に退職金を多くもらう方法があるとすれば「2人分もらう」方法です。夫と妻が共働きをし、それぞれが退職金をもらえば、老後の経済的余裕は大きく高まります。

かつては片働き世帯が主流で「男性が外で稼ぎ、女性は家事をする」という役割分担だったわけですが、今では多くの女性が働く時代になり、むしろ共働き世帯の方が主流になっています。そして、退職金をもらう権利に男女差別はありません(もし差がつくとすれば性差別ではなく、職階級等の処遇の違いにより差がついていることになります)。

今まで世帯がもらう退職金は「1人分」でした。しかし正社員で共働きをしていた場合、それぞれが退職金をもらうことになるので「2人分」になります。これは大きな違いです。

夫婦それぞれが1000万円の退職金がもらえる会社に勤めていたとすれば、実はそれだけで「老後に2000万円」が確保できるほどのインパクトがあります。

しかし、産休や育休、時短勤務の期間が長いとその分退職金額も減ることがあります(条件は各社規定による)。結婚しても共働きで働き続けること、子どもが大きくなってきたらフルタイム勤務に戻すことが大事です。

そしてそのためには男性も家事育児をしっかり分担することが、退職金をたくさんもらうコツなのです。まさか夫のイクメンぶりが妻の退職金を増やすとは思わないでしょうが、そこが地続きとなっていると考えてみてください。

非正規でも退職金? 正社員で働くことが最優先

ただし、共働きも「パートと正社員の夫婦」では退職金はダブルになりません。正社員の共働きであることが条件になります。ほとんどの会社は退職金を支給する対象を正社員と定めているからです。

パートやアルバイトなどは特に定めがない限り、退職金の対象外となっています。

実は今、非正規雇用にも退職金を、という動きがあります。例えば派遣社員と正社員のあいだの退職金格差が問題となり、一定の上乗せをすべきだという取り組みが始まっています。

パート等の非正規でも長期勤続であれば正社員の4分の1以上の退職金をもらう権利があるという高裁判決も出ています。こちらはその後、最高裁では認められなかったものの、「同一労働同一賃金」の取り組みの中で、今も議論が続いています。早晩、最高裁でも認める判例が出るのではないかと予想しています。

とはいえ「いつか法改正されて退職金を受けられるかも」と待っているのは不確実です。それよりは積極的に正社員での仕事を探すほうがいいでしょう。結果として年収100万円がその倍以上になり、退職金ももらい、社会保険もカバーされることになります。

たくさんの会社が正社員の求人を出しています。自分は無理とあきらめず、退職金をもらえる働き方を目指してみてください。

若いうちから退職金や企業年金にも目を配ろう

今月のお題「退職金」というのは若い人にはピンとこないものだったかもしれません。半強制的に会社が制度に加入させ、お金を積み立てる仕組みというのは、今の時代にははやらないような感じがします。しかし確実な老後資産形成の一手段として考えると、これほど有効な制度もありません。

一方で、転職が増えている若い人ほど、会社にお任せというわけにはいかなくなりました。定年退職を迎えたら終身雇用の会社からまとまった退職金をもらえる時代ではなくなっているからです。「自分の退職金のマネジメント」を意識していく必要が出てきています。

目の前の給与や賞与、福利厚生を意識するだけではなく、退職金にも目を配ってみましょう。もしかすると、あなたの会社は退職金を含めてしっかりとした処遇をしている「実はいい会社」であるかもしれませんね。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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