投資信託の為替ヘッジ 局面次第で「あり」も選択肢に
投信ランキング(バランス型投信 純資産総額)

バランス型の投資信託は商品によって組み合わせている資産の種類や比率が異なる。また、海外資産に投資している場合は為替ヘッジの「あり」と「なし」がある。内外の金利差拡大に伴い、足元の為替ヘッジのコストは上昇している。最適な商品を選ぶには、長期の運用実績(リターンやレーティングなど)に加え、為替ヘッジの有無も検討する必要があろう。
円高はヘッジありが有利
長期投資の場合、為替はリターンの源泉ではなく、リスクの変動要因とされる。長期投資ならヘッジなしは一つの選択肢だ。逆に投資期間が短いケースならヘッジを付けることにも意義がある。

グラフは海外の株・債券に均等投資するケースで、為替ヘッジを0〜100%まで変化させた場合のリスクリターンを試算したグラフだ。期間が長くなると、為替ヘッジコストを払っても、運用効率は向上し、6〜8割程度の有用性が確認できる(上)。
だが、直近の円安局面で検証すると、この関係性は逆転する(下)。円安局面ではヘッジなしが有利、かつヘッジコスト上昇でヘッジありが不利になるためだ。
ただ、ドル・円の為替レートが1ドル=79円から同119円に振れた2012〜15年で同様の検証をすると、グラフ上の長期と同じ結果となった。これは当時のヘッジコストが低水準だったためだ。
つまりヘッジの有無、どちらがリスク・リターンのバランスで優れているかは、局面次第ということになる。足元のような円安局面から円高に向かうと、海外資産は差損を抱える。これからバランス型投信を選ぶなら、為替ヘッジありを選択するのもありだろう。
人気商品はヘッジなし
バランス型投信の純資産総額ランキングを見ていこう。

1位はセゾン投信の「セゾン・グローバルバランスファンド」。原則、株式と債券へ50%ずつ投資する。株式・債券の配分は各地域の規模を勘案して決める。1本で世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に国際分散投資が可能だ。外貨建て資産については為替ヘッジは行わない。
2位は野村アセットマネジメントの「のむラップ・ファンド(普通型)」。配分は野村証券が開発した最適化モデルを用い、各資産の期待リターン、リスク、相関係数などを考慮して決める。リスク性資産は22年11月末で約51.2%だ。経済環境に応じて配分を定期的に見直す。これは中長期で資産を運用する年金基金なども採用する手法だ。こちらも為替ヘッジは行わない。
(格付投資情報センター 田中翔平)
[日経マネー2023年3月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2023/1/20)
価格 : 800円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス