日銀が指し値オペ 金利上昇で午後も通知、1日2回は初

日銀は28日午後、指定した利回りで無制限に国債を買い取る「指し値オペ(公開市場操作)」を午前に続き実施すると通知した。1日2回の実施は初めて。新発10年物国債を対象に0.25%の利回りで原則として応札分をすべて買い取り、金利の上昇(債券価格の下落)を抑制する。海外金利の上昇を受けて国内金利にも上昇圧力が強まるなか、金融緩和を続ける姿勢を強く示す狙いがある。28日の指し値オペの発動は2月14日以来約1カ月半ぶり。
国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは28日午前、一時0.245%と2016年1月以来の高水準をつけ、日銀が長期金利変動の上限とする「0.25%程度」に迫っていた。前週末の米債券市場で米長期金利が上昇し、国内債にも売りが及んだ。
指し値オペ発表後に長期金利は一時0.240%に低下し、午前の取引終了までに日銀が指定した0.25%よりも低く(価格は高く)推移した。日銀は同日昼、指し値オペでの日銀の買い入れ額がゼロだったと発表した。日銀の提示した価格よりも市場の方が高く売れることになるため、応札する金融機関がなかった。日銀が前回2月に指し値オペを実施した際にも、市場金利の方が低く推移し、金融機関からの応札はなかった。
もっとも午後には長期金利は一時0.250%と日銀の「上限」に達した。20年物国債利回りは同0.775%、30年物国債利回りは同1.000%とそれぞれ上昇した。米国を中心に世界的な金利上昇の勢いが強いなか、日本の国債利回りにも上昇圧力がかかっている。日銀は午後、きょう2回目の指し値オペを通知した。
米連邦準備理事会(FRB)など海外主要中銀が金融引き締め姿勢を強める一方、日銀は18日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決めている。金融政策では長期金利を「プラスマイナス0.25%程度」、短期金利をマイナス0.1%に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を柱としている。指し値オペの発動で、長期金利を上限とする範囲に抑え込むとの姿勢を強調する狙いがある。日米の金融政策の方向性の違いが改めて意識され、28日の外国為替市場では円安・ドル高が進んだ。
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