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バイデン政権、株安容認か 増税案は暗号資産も直撃

日本時間23日の午前2時すぎ、突然、ダウ平均が急落した。バイデン政権が株式などの売却益にかかるキャピタルゲイン(投資収益)の課税強化に動く、との報道に市場が反応したのだ。既に大統領選挙のときから富裕層の投資収益課税を20%から39%以上に引き上げる案を明示していたので、マーケットも覚悟はしていた。とはいえ、いよいよ現実の問題となれば、警戒感は強まる。

特に市場が気にする点は、バイデン大統領が「エリート集団」のウォール街と一定の距離を保ち、中間層重視の姿勢を打ち出していることだ。トランプ前大統領の如く株価上昇歓迎コメントでも出せば、民主党急進左派のエリザベス・ウォーレン上院議員が間髪入れず反論するであろう。僅差過半数の上院ではわずかに造反議員が出れば、バイデン大型財政政策は暗礁に乗り上げる。

ときあたかも、アルケゴス問題が富裕層マネーの暴走と手助けする投資銀行、デリバティブ金融商品の問題をあらわにした。(詳細は関連記事を参照されたい)

ただし、増税案は共和党が強く反対している。財政調整法による単独強行採決という切り札もあくまで特例措置であり、続けて使える手段ではない。実現まで数カ月は要するであろう。

まずは、年収100万ドル以上の高所得者による年度内の株式売却がスローモーションのごとく進行する展開が予想される。

さらに、本丸ともいえる法人税21%から28%への増税案も控える。その企業収益への影響を市場はいまだ織り込んでいない。新大統領との蜜月期間も終わると、いよいよ結婚生活の現実の厳しさをかみ締める時期となりそうだ。

影響は暗号資産(仮想通貨)にも及ぶ。ビットコイン価格は増税報道前の5万5000ドル台から5万ドルの大台を割り込む展開だ。コインベース上場時に6万4000ドル台の最高値をつけた後、規制強化などを嫌気して調整局面に入っているが、相変わらずボラティリティー(価格変動)が激しい。

今回の急落劇は、富裕層マネーが仮想通貨市場にも流入していることを映す現象といえよう。米ゴールドマン・サックスも富裕層向け資産運用部門の顧客に対し、ビットコインなど仮想通貨を投資対象に加える方向だ。モルガン・スタンレーもビットコインにのみ投資するファンドを立ち上げたとされる。200万ドル以上を預託して、「積極的なリスクを許容できる」富裕層限定という触れ込みである。

富裕層ビジネスの拡大は止まらない。仮想通貨やファミリーオフィスの分野で、トランプ時代の規制緩和で骨抜きにされ後手に回った米証券取引委員会(SEC)の巻き返しが注目される。ちなみにSECの新委員長ゲンスラー氏は、民間時代に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で仮想通貨とブロックチェーンについて教鞭(きょうべん)をとっていた人物である。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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