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「面白い」と思える仕事こそ稼げる(さんきゅう倉田)

マネーの履歴書 芸人、ファイナンシャルプランナー・さんきゅう倉田さん

「元東京国税局職員のお笑い芸人」として活躍する、さんきゅう倉田さん。2021年12月に『元国税職員のお笑い芸人がこっそり教える 世界一やさしい お金の貯め方増やし方 たった22の黄金ルール』を出版、発売わずか2カ月で5刷りを突破した。周囲の芸人のお金にまつわるリアルなエピソードなども織り交ぜながら、お金に困らないで暮らすために必要な知識・考え方を解説している。異色の経歴を持つ自身は、どのようにお金と向き合ってきたのか。

金額は覚えていないのですが、小さい頃から常にお小遣いをためていたと思います。なぜか、誰かに教わったわけでもなく、自然と貯蓄の習慣ができていました。一方で高校生の時に、原付きバイクを19万円ぐらいで買ったことも覚えています。

新卒で東京国税局に入ったのは、お金の計算が得意だったから。数学が好きだったし、昔から、レジに並んでいる間に買い物籠の中のモノの合計額を計算するタイプでした。別に楽しいわけではないのですが、並んでいる間に暇だからついやってしまうんです。

国税局では中小法人の税務調査などを担当しました。脱税している可能性の高い社長の調査に赴いた際、殴られたこともあります。でも、楽しく、やりがいのある仕事だったんです。

ところが入局して2年がたった頃、退職を決意。吉本総合芸能学院(NSC)への入所を決める。

「なぜ国税局から芸人に」と、週に3回ほどのペースで聞かれます(笑)。僕が仕事をする上で大切にしているのが、「面白い仕事をすること」。国税局に入る前から何となく芸人になることは意識していましたが、「より面白い仕事をするには」と考えた結果です。「面白い」というのは、より興味があることという意味。お笑い芸人、楽しいです。楽しくなかったら辞めています。

芸人は、あらゆる職業の中でも一番変わり者が多い集団。自分では想像もできないような行動を取る人がたくさんいて、借金を抱えていても何とも思わないような人も少なくありません。「欲しいから買った、ただそれだけ」と、豪快なお金の使い方をするところは、芸人の良いところだとも思っています。ただ、自分のお金の価値観がそうした周囲の影響を受けるということはありませんでした。

「芸人の95%が本業以外にアルバイトをしている」と指摘するさんきゅう倉田さん。アルバイトで生計を立てる生活が終わったのは、芸人生活5年目のことだった。

今は「分かりやすく、短く、ためになる」お金の話を伝える仕事に専念しています。仕事の種類は本当に色々あるのですが、依頼されて講演をしたり、ウェブに記事を書いたり、書籍を出版したりしています。

芸人になって税金周りの知識を集め続けたのは、先輩などからそう勧められたからです。24歳から芸人を目指すというのは遅い方で、「前は何をやっていたの」と聞かれることも多かった。「国税局で働いていた」と答えると、「珍しい。もっとネタで使っていった方がいいんじゃない」などと周囲から言われました。そうして勉強していくうちに、お金の知識を集めること自体が楽しくもなりました。

芸人になった時、収入への不安は全くなかったです。何とかなるだろうと思っていましたし、「自分が面白いと思う仕事の方が稼げるはず」という考えが根本にありました。結果、何とかなっています。

「特技や趣味を仕事に掛け合わせてこそ、自分にしかできない仕事ができる」と考えています。僕の場合は、この特技や趣味に当たるのが、「税金やお金の知識」。公務員から個人事業主になってからは仕事とプライベートの境目がなくなっていますが、それが重要だと思っています。日常生活でも仕事の知識を吸収して、趣味も仕事にする。村上龍さんの『無趣味のすすめ』を読んだ時、「あ、僕の考えは間違っていなかったんだな」と思いました。"趣味"はもう捨てたんです。好きなことこそ、仕事にしたいと思っています。

さんきゅう倉田さんのマネーのターニングポイント


●「面白い仕事の方が稼げる」と公務員を辞めて芸人に
面白いと感じる仕事こそ、おのずと努力を重ねることができるため稼げる、と考える。そのために趣味や特技など、自分が「好き」だと思うものはなるべく仕事に取り入れたいと思っている。

●ボケより説明力を重視したことで仕事が増えた
「"税金ネタ"を使ったボケを試みて、うまくいかなかったこともある」と話す。「芸人としての"話をすることが得意"という利点を生かして、税金のルールを分かりやすく説明する仕事を狙った」ことで、お金に詳しい芸人として仕事が増えてきたという。

「マネーの履歴書」は、様々な分野の第一線で活躍する人のマネーヒストリーやお金哲学を紹介するコラムです。

(聞き手は大松佳代)

[日経マネー2022年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年5月号 新年度の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/3/19)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

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