資産1.3億円の会社員 ウクライナ危機にも機敏に対応
億超え投資家に学ぶ 資産1億円のつくり方(上)

父親が株式投資をする姿を見て、将来は自分も投資家になると決めていたぱおさん(ハンドルネーム、40代)。社会人になった後、独学で証券アナリストの資格を取得し、満を持して株式投資を始めた。
当時、思い描いたライフプランは、「毎年100万円ずつ入金し、年率7%で運用すれば、30年間で1億円を達成できる」というもの。ぱおさんはそれを愚直に実践した。20代で収入が少ない時期は厳しかったが、何とか毎年100万円を捻出して投資に充て続けた。その結果、予定の3分の2の約20年で資産1億円を達成できたという。
グロース株で大相場も取る
ぱおさんは仕事で企業の財務分析をすることもあって、バリュー(割安)株投資を得意とする。平均で3年以上は保有して大きな値上がりを取るのが基本戦略だ。投資を始めた頃は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)だけを見て投資し、"万年割安株"をつかんでしまうことも多かった。「業界全体が伸びている銘柄に絞ることや、キャッシュフローの質を重視することを心掛けてから、安定した利益が出せるようになりました」(ぱおさん)

アベノミクス相場以降は、バリュー株だけでなく、グロース(成長)株にも投資をするようになった。「物流機器のダイフクを1000円割れで仕込み、3000円で売り抜けたのですが、その後1万円を超える大相場になって悔しい思いをしました。バリュー株一辺倒では利益を取り切れないと分かりました」
ただ、人気のIT銘柄などは自分で成長を見通せないため手を出さない。水道施設建設のメタウォーターのように、インフラ系で地味に年10%程度の成長を続ける銘柄が好みだ。
ぱおさんは、バリュー株とグロース株から10銘柄程度を厳選し、「勝負株」として運用の中心に据えている。そこに、優待株や米国株を組み合わせて、安定した利益を上げる仕組みだ。

牛丼600円時代に備える
ぱおさんは今年に入って保有銘柄を大幅に入れ替えている。ウクライナ危機によって企業の優劣が一変すると考えているからだ。
「ウクライナ危機の衝撃が顕在化するのはこれから。近い将来、牛丼並盛が600円になる世界が来るとみています。そうした状況でも勝ち残れる銘柄を今仕込んでいます」(ぱおさん)
買いの筆頭になるのは、輸出比率の高い製造業。例えば、マブチモーターや椿本チエインなどが有望とみる。また、金利上昇の恩恵で銀行やリースも買いに。特に愛知銀行などの上位地銀は、バリュー株投資の観点からも非常に魅力的だと言う。この他、価格転嫁できる素材なども買いになる。「こうした業種のうち、今業績が好調な銘柄に乗るのがいい。今好調な銘柄はこれからもっと良くなるはず」(ぱおさん)
反対に、外食や小売りは非常に厳しいとばっさり。優待株を約250銘柄保有していたが、既に約180銘柄まで減らしたと言う。
(市田憲司)
[日経マネー2022年8月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2022/6/21)
価格 : 800円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス
資産形成に役立つ情報を届ける月刊誌『日経マネー』との連動企画。株式投資をはじめとした資産運用、マネープランの立て方、新しい金融サービスやお得情報まで、今すぐ役立つ旬のマネー情報を掲載します。