「米国成長株投信D」、ファンドスコアは8
投資信託で長期の資産形成に取り組むなら、それに適したファンドを選びたい。長期投資にふさわしいかどうかの視点でランク付けした「QUICKファンドスコア」は、投信選びの参考になる指標の一つだ。今回は主に先進国の株式で運用する「先進国株式型」(QUICK独自の分類)を対象に、純資産総額(残高)が大きい投信のスコアを比べてみた。
スコアが付いた「先進国株式型」の残高上位10本は、9月末時点の総合スコアが2~10にばらついた(図表1)。スコアの値とリターンの大きさが必ずしも連動していないのは、運用成績だけで評価するのではなく、長期投資に向いているかどうかを多角的に分析しているためだ。

具体的に個別の総合スコアを見てみると、残高1位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は10段階で8と高評価だった。スコア算出のもととなる5項目がバランスよく、特に「リターン」と「下値抵抗力」の評価が高かった(図表2)。

一方、このファンドと投資先のマザーファンドが同じ残高4位の「Bコース(為替ヘッジなし)」は、総合スコアが最高評価の10だった。残高1位の「Dコース」が毎月決算型であるのに対し、「Bコース」は年間決算回数が2回と少ないことなどから、「分配金健全度」の項目で評価に差が出た。「Bコース」は運用開始から10年以上が経過し、このスコアの特性として各項目の評価が高めになった面もある。
残高9位の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド<愛称:イノベーティブ・フューチャー>」の総合スコアは10本中最低の2。「リスク」「リターン」「下値抵抗力」「コスト」の4項目が総じて低く、運用年数が短いことも足を引っ張った。
※個別の投資信託が長期投資にふさわしいかどうかを判断する指標。追加型株式投資信託(ETF、DC・ラップ・SMA専用などを除く)を投資対象資産が同じファンド分類の中で相対評価し、1~10の「総合スコア」でランク分けする。数値が大きいほど、同じ分類内で評価が高いことを示す。
※スコアの付与対象は設定後3年以上(インデックス型は設定後10年以上)が経過した投信。運用実績を積んだ投信が望ましいとの考えに基づき、設定からの経過年数が長いファンドほど評価が高くなる仕組みとしている。
※多角的に評価するのが特徴で、各投信を(1)リスクの適正さ(2)運用成績の安定度(3)下げ相場での抵抗力(4)リターンに見合ったコスト(5)分配金の健全度――の5項目を評価軸とする。
※日本経済新聞電子版のマーケット欄「投資信託」コーナーで検索すると投信ごとにスコアが表示される。
(QUICK資産運用研究所 西本ゆき)