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22年投資戦略 商品は金属と穀物に妙味・原油に波乱も

プロが解説 新年の海外投資戦略(下)

2022年の海外投資について、プロの見通しと有望な戦略を紹介してきた本シリーズ。最終回は、①金属、②原油、③農産物の3つのコモディティー(商品)相場の行方を展望し、それを踏まえて大きなリターンを期待できる投資戦略を探る。

金をはじめとする金属や原油、農産物などの商品は株やドルなどと異なる値動きを示すことが多い。そのため、値上がり益を狙うだけでなく、他の金融商品が値下がりした時に損失を抑制したり、相殺したりするヘッジ(回避)としての効果も期待できる。

21年には、供給制約やヘッジ需要から金属、原油、農産物の価格が軒並み高騰し、世界的なインフレの大きな要因にもなった。22年も騰勢が続けば、値上がり益を享受する機会にも恵まれそうだ。まずは金属相場の見通しについて見ていこう。

①金属相場はどう動く

2020年3月のコロナショックの後には様々な金属の価格が高騰し、金、銀、銅、パラジウムは史上最高値を更新した。22年の金属相場はどう動くのだろうか。

「利息の付かない金は、金利が上がると売られる傾向がある。21年には、米国の利上げを警戒した売りとインフレのヘッジを狙った買いが拮抗して、金の価格は狭いレンジの中で推移した」

コモディティー(商品)相場の分析を手掛けるマーケットエッジの代表取締役、小菅努さんは21年の金の動向をこう振り返り、22年の金相場を次のように見通す。

「前半は、インフレの進行と新型コロナウイルスの変異型による感染再拡大への懸念から、金が買われて価格が上昇する。後半に入ると、米国の利上げが強く意識されて反落する可能性が高い。ただし後半もインフレが続けば、金価格の上昇は続くだろう」

一方、楽天証券経済研究所のコモディティアナリスト、吉田哲さんは次のような見通しを示す。

「これまでの経験則では、株とドルの価格が上昇すると、金の価格は下落するのが通例だった。だが21年には株高、ドル高、金高の"3高"という異例の状況が生じた。22年も3高が続く可能性がある。不安材料が多く、投資マネーを逃避させる需要が高まることで発生する金相場への上昇圧力が、株高とドル高によって発生する下落圧力を相殺するとみられるためだ」

プラチナと銀にも投資妙味

他の金属はどうか。小菅さんは22年にプラチナの価格が上昇するとみる。自動車の増産や環境規制の強化で、排ガス浄化触媒の用途が拡大し、価格を押し上げるとの見立てだ。「留意点は、最大の産地である南アフリカの動向だ。オミクロン型の流行で輸出が止まる可能性がある」(小菅さん)

吉田さんは銀に妙味があると話す。脱炭素で利用拡大が見込まれる太陽光パネルの部材としての需要が増加しているからだ。「長期間上昇が続く可能性があるため、銀価格に連動するETF(上場投資信託)や積立投資で長期保有することも一考に値する」(吉田さん)

金属の投資手段については、小菅さんも「プロは先物がメインだが、個人投資家はETFの方がハードルが低いだろう」と話す。

「円建てのETFは、ニューヨークやロンドン価格の円換算額に連動するものが多い。円安局面では円建てETFに大きな投資メリットがある。一方で、金属価格の値動きそのものを追求するのであれば、ドル建てのETFの方が取り組みやすい」(小菅さん)

吉田さんは円建てのETFを推奨。市況に応じて、様々な金属の価格に連動するETFを組み合わせて投資することを勧め、三菱UFJ信託銀行の「金の果実」シリーズを例示する。このシリーズでは、金、プラチナ、銀、パラジウムの4種類の金属の価格に連動するETFを販売している。金の果実(純金上場信託)は、国内の金ETFで売買シェアが7割を超えている。プラチナの果実(純プラチナ上場信託)は、国内のプラチナETFで9割超のシェアを持っている。

②原油相場はどう動く

原油価格の振れ幅は40ドルにも

次に原油の動向を見ていこう。コロナショック後に史上初のマイナス価格を付けた原油の先物価格はその後、供給制約から右肩上がりで推移した。21年10月には米国の原油先物であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格が1バレル85ドル台に上昇し、14年以来7年ぶりの高値を付けた。22年も高値圏で推移するのだろうか。

吉田さんは、22年の原油先物価格のレンジを1バレル60~100ドルと40ドルもの幅を見込む。下の表に掲げたような複合的な要因で、100ドルまで急騰する可能性がある一方で、産油国が増産を加速させるなど、上昇要因が解消に向かえば、急落する可能性もあるからだ。「22年は短期での機動的な投資が求められる1年になる」(吉田さん)

小菅さんは米国のシェールオイル企業が増産するか否かが鍵になるとみる。「増産が実現すれば、需給が拮抗して高値圏で推移する。ただし、シェールオイルのめぼしい油田が既に採掘され、生産が限界に近づいているという見方もある。増産が実現しなければ、原油価格は急騰するだろう」(小菅さん)

小菅さんと吉田さんは、原油を対象にした投資では上の表のような戦略を提示する。小菅さんは原油のETFでも、円建てETFには円安局面での投資メリットがある一方で、原油価格の値動きそのものを追求するのであれば、ドル建てETFの方が取り組みやすいと指摘する。

東証には複数の円建て原油ETF・ETN(上場投資証券)が上場している。その中で選ぶなら、流動性が高い銘柄が望ましい。NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信などが候補になる。

③農産物相場はどう動く

農産物は異常気象で世界的な不作に

最後は農産物の動向を探っていく。21年には農産物の価格が全般的に高騰した。南米ペルー沖の海面水温が平年より低くなる「ラニーニャ現象」が発生し、天候不順や厳冬で不作となったからだ。22年も価格高騰が見込まれている。2年連続でラニーニャ現象が発生する可能性が高いためだ。

「原油価格の高騰で、燃料代や原油を原料とする肥料や農業資材の価格も上昇している。生産コストの上昇も相まって、2年連続で農産物の価格が高騰しそうだ」(小菅さん)

吉田さんも、異常気象で農産物全般の価格が上昇する可能性を指摘。コロナ禍からの景気回復に伴う需要増も価格を押し上げると予想する。

農産物価格が高騰する見通しを踏まえ、2人とも農産物価格の指数に連動するETFに投資妙味が生じるとみる。小菅さんは作付け面積が増えない見通しのトウモロコシや大豆の価格指数に連動するETFを有望視。吉田さんは複数の農産物を組み入れた指数に連動するETFが有望だと語る。

東証には、WisdomTree 農産物上場投資信託WisdomTree とうもろこし上場投資信託など、米ブルームバーグが作成している農産物や穀物の価格指数に連動したETFが複数上場している。

(中野目純一)

[日経マネー2022年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年2月号 2022年の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/12/21)
価格 : 750円(税込み)
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