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趣味や娯楽に使う 生きたお金が生活に彩り

「つながり」とお金(4)

お金を通じて社会と私たちがつながる、いくつかのアプローチについて今月は考えてきました。最後に考えてみたいのは生きがいや趣味を通じたつながりです。

会社とは離れて趣味のつながりを持とう

先日見た調査によれば、無趣味の会社員が増えているそうです。年金シニアプラン総合研究機構が長年実施している「サラリーマンの生活と生きがいに関する調査」の結果ですが、過去数十年、調査結果が出るたびに生きがいのある会社員が減っているとのこと。なんと「前は持っていたが、今は持っていない」「持っていない」の合計は40%にもなっています。

かつての会社員といえば「仕事が生きがい」という人が多かったものですが、これは年々減少しており、これが影響しているようです。会社に働きがいだけではなく、生きがいまで依存しないほうがいいので、この分の低下傾向は悪いことではありません。

さらに「家族が生きがい」という人は割合としては低下していないものの、単身者が増えている世の中では増加することも期待できません。それに、子が人生のすべて、のようにプレッシャーがかかるのも、子どもからすれば重すぎるでしょうし、ほどほどがいいように思います。

そうすると、何か具体的な趣味を持ったり交際の時間を取ったりすることで、生きがいを確保したいところです。しかし、自由時間の過ごし方の第1位が「SNSやインターネットをみる」となっているなど、はっきりとした趣味がみつからない様子も垣間見えます。

生きがいは、あなたが会社以外の世界と「つながる」大事な手段のひとつです。

お金がかかる趣味、かからない趣味をバランスよく

ファイナンシャルプランナーとして、趣味についてアドバイスする以上は「お金」の問題に触れないわけにはいきません。総務省の家計調査年報によれば、「教養・娯楽費」「交際費」という2つの支出項目が消費支出の13%くらいを占めています。貯金等を除いた手取りが20万円なら、月2.6万円くらい使っているということです。

思ったより大きな金額かもしれませんが、「予算枠」を意識することが重要です。毎月の収入とのバランス、中長期的なマネープランとの兼ね合いの中で趣味や交際費の予算を考えていくことが大事です。

一方、メリハリがあれば「生きがい」のための予算が家計の一定割合を占めることは問題ありません。スマホゲームのガチャだって、金額を決めて一喜一憂する限りは決して悪いものではありません。しかし、感情にまかせて一瞬にして数万円をつぎ込むような後先考えないやり方は問題です。

バランスよく趣味に予算をつぎ込むことで、私たちの生活は彩りのあるものとなってきます。趣味に予算をどれくらい使いたいか、使ってもいいかは人それぞれです。むしろ同じ趣味でものめり込むと予算が膨張することに注意したいところです。

インドアとアウトドア、ひとりとグループの趣味を意識

趣味はいくつ持ってもかまいません。浅く楽しむ趣味と深く楽しむ趣味が同時にあっていいわけです。私はマンガを読むことが一番濃い趣味(蔵書5000冊強)で、ゲームやアニメも好きです。一方で、NHKの人気テレビ番組「ブラタモリ」のような街歩きは昔からやっていて、美術館や博物館訪問も楽しみのひとつです。

ぜひ、浅い趣味と深い趣味、いくつも持っておきましょう。計画的に考える必要はありません。趣味というのはいきなり育ち始めることがあるからです。例えば私の街歩き趣味に火がついたのは、ホームページの案内をみて「東京スリバチ学会」のフィールドワークに参加したことでした。たまたまその日が暇でいい天気で、さらにたまたま「iPhone3GS」を手にしたばかり。古い商店街を撮影しまくったことで、地理や歴史が好きだった学生時代の記憶がよみがえり、街歩き趣味が覚醒しました。

そこから、街歩きの仲間が増えたり(互いの学歴や職歴、性別などまったく無関係に「街歩きが好き!」でつながっていく)、暗渠(あんきょ)が好き、古道が好き、マンホールが好きなどいろいろマニアックな世界が広がっていきました。あのとき、天気が悪くて外出しなかったら、ここまで広がりを見せることはなかったでしょう。不思議なものです。

そういうきっかけは誰にでもあります。イベントに顔を出す、オフ会に行ってみるなどちょっとだけ意識して趣味とつながってみてください。

さらに意識して趣味とつながるなら「インドア趣味」と「アウトドア趣味」を複数持てると理想的です。また「ソロ(ひとり)趣味」と「グループで楽しむ趣味」も意識するといいでしょう。紙に4象限を書いて「見える化」してみてください。

とはいえ「図書館で郷土資料を読む」「実際に街歩きする」となればひとつの趣味がインドアとアウトドアにまたがります。また、ひとりで歩いてみたりグループで歩いてみたりすることで、ひとつの趣味がソロとグループにまたがることもあります。

団塊世代の多くは「仕事が生きがい」とばかりにのめりこみ、老後に「何もやることがない」と途方に暮れていました。これからの世代はむしろ、現役時代に趣味で社外のつながりをたくさんもち、リタイアを心待ちにする時代にしていきたいものです。

2022年は趣味を楽しめる年になりますように

昨年から今年にかけては新型コロナウイルス禍で自由に活動しにくい時期が続きました。カルチャースクールなども一時的に休校にしたところがあったようです。しかしながら感染の落ち着きに伴い、再開するところが増えています。

美術館や博物館も2022年にはいろいろな企画展を予定しています。コロナウイルスの変異型の出現など、気がかりな部分もありますが、22年はぜひ、あなたの中に眠っている好奇心を外に出してあげてください。一生の生きがいが見つかるかもしれません。

さて、21年もいろいろなテーマで「Life is MONEY」について考えてきましたが、今週が最終掲載日となりました。22年も引き続きホットなテーマを交えつつお金について考えていきたいと思います。皆様、よいお年をお迎えください。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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