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人生に何度かある学びのチャンス 逃さず成長しよう

「学び」とお金(4)

今月は社会人の学びとお金について考えてみましたが、最後は「いつ」学ぶかということを個人のライフプランの観点から考えてみたいと思います。

というのも、社会人生活において学び直しに取り組める好機は、いつでもあるわけではありません。人生で何度か訪れる学びのチャンスをどう逃さないかが、その後の長い人生を大きく変えることになるのです。

社会人の学びはタイミングとチャンス

社会人の学びにはタイミングの問題があります。それは仕事の内容に影響を与えることもあれば、家庭のプライベートな環境が反映されることもあります。

今の仕事が順調に推移しており、まだまだ伸び代があるときは、新しいスキルを学ぶ必要性は高くありません。むしろ業務に追われ、次のことを学ぶ時間がなかなかとりにくいことでしょう。

かといって、タイミングを後ろにずらしすぎると時代に置いていかれてしまうことがあります。学び直しのタイミングをうまく生かせば、あなたの価値を保つことができますが、なかなか難しいところです。

家庭環境が学びのタイミングを制約することもあります。キャリア的にはチャンスでも、プライベートの事情がそれを許さないということはしばしばあります。

そして経済的な問題もあります。今、無収入になってでも学び直しができるか、そのための予算は確保されているかが、数十年後の人生にはね返ってくることもあります。

キャリアの陳腐化、業界の斜陽化に危機感を

リスキリング(スキルなどの学び直し)の機会を会社が提供してくれるということは、無償で学び直しの機会を得ているわけですが、安心していられません。むしろ、あなたの仕事内容に大きな転換期が迫っていると考えたほうがいいでしょう。

会社はあなたのビジネススキルが将来通用しなくなるからこそ研修を受けさせていると考えるべきです。受け身で学んでいる場合ではなく、生き残りを懸けるつもりで学び直しに臨む必要があります。

理想的にはあなたのビジネススキルが今高い評価を受けているうちに、次の一手を踏み出したいところです。会社がまだリスキリングに手をつけていないタイミングで学びのアクションを起こすのが理想です。

私の友人(多くはアラフィフ)にも、もう一度大学に入って学び直しをしている人が何人かいます。私からすれば、その人のビジネススキルや知識はこれから数十年稼ぐには十分な高さだと思えますが、強い危機感を持っているからこそ「次の一歩」を踏み出しているのでしょう。

自分のビジネススキルによって収入が頂点に達したとき、あるいは自分の働く業界が斜陽化しつつあるときなどは、ぜひ学びに活路を見いだしてみてください。

家族の理解を得る 子育てとのタイミングも難問

プライベートの状況も、学び直しに一定の制約をもたらします。例えば、子どもが入院していて回復している途上にあれば、仕事を辞めて学び直しに集中するわけにはいかないでしょう。家族の健康問題はときに、学び直しの制約となります。

住宅ローンや子の教育費負担をやりくりするためには、無収入期間をつくることができない、という経済的制約が生じることもあります。これは多くの会社員が抱える難問です。

リカレント教育に家族の了解が得られないことが多いのも、いったん離職するというリスクが大きいからです。

その意味では、比較的自由にタイミングを設定できるのは、独身のとき、家族が健康であるとき、結婚していて子どもがいないときなどでしょうか。こういうプライベートの環境をチャンスと捉え、積極的に学び直しに取り組みたいものです。

一方で、介護や子育ての期間の寸暇をみつけて、学び直しにチャレンジする可能性も高まっています。隙間の時間を利用した学習は、スマートフォンやタブレットの活用とリモート技術の進展によって在宅で可能となりました。

育児休業といっても「子育てという仕事」をしているようなものですから大変だと思いますが、会社のルーティンワークから離れて新しい学びの機会を得るチャンスにしてみてはどうでしょうか。

最後の最大の課題「学ぶ費用」の確保

最後にお金の問題を改めて整理しておきます。個人の目線で考えると、学び直しは「ただ」で学べるか「自腹」で学ぶかという大きな分岐点があります。

会社がリスキリングを研修として提供してくれるなら、知識やビジネススキルをお金をかけずにアップデートすることができます。これは幸いなことです。

しかし、リカレント教育のチャンスを自分で獲得しにいく場合、少なくとも学費の自己負担が生じますし、ケースによってはいったん離職することも考える必要があります。

もし後者の場合、そのための予算をあらかじめ確保しておくことが大切になります。学び直しのために会社を辞めて、生活費まで借金でまかなうような事態はまったくお勧めできませんが、かといって絶好のチャンスを逃し、将来年収がじり貧になるのも避けたいからです。

計画的に学びの予算を確保することは、これからのマネープランとして意識するテーマとなっていくでしょう。少しでも学び直しに関心があれば、とにかくお金をためるところからスタートしてください。資格取得講座か大学への通学か、予算は様々ですので少し調べてみるといいでしょう。

リカレントは「元が取れる」かと考えると、教育関係者は眉をひそめるかもしれませんが、少なくとも元を取らなければ社会人の学びの意味はありません。

「学習費用+その間の生活費」<「生涯獲得賃金の上昇余地」となって、あなたの未来がさらに充実したものとなるよう、マネープランも意識しながら学びを続けてほしいと思います。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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