1~3月の運用成績は4割がプラスに 海外投資が奏功
日経マネー個人投資家調査2022 1万3500人回答で判明した実像(下)
今回の「個人投資家調査」における1つ目の注目点は、1~3月の波乱相場を乗り越え、4割超の投資家が利益を上げたこと。2022年前半の世界の株式相場は、米国の利上げやウクライナ・ショックの逆風で軟調な展開が続いた。しかし、回答者の1~3月の運用成績を見ると、全体の42.3%がプラスの成績を確保した。好調だった投資スタイルは、国際分散投資や先進国株投資。円安による資産押し上げ効果が大きかったようだ。一方、新興・中小型株投資やバリュー(割安)株投資は不調だった。

値上がり期待はアップル、配当ではコカ・コーラが人気
2つ目は、ウクライナ・ショックを投資の好機とした人が多かったこと。今年の1~3月の成績がプラスだった人の42.7%が相場急落時にリスク資産を増やし、現在も保有中だった。コロナショックの経験を生かし、相場急落時に積極的にリスクを取った人が大きな利益を上げたようだ。また、ショックによる環境の変化に伴って、今後の飛躍が期待できる「ゲームチェンジ」銘柄として、原油、資源、防衛・復興、脱炭素関連などの株の注目度が高まっていることが分かった。

3つ目は、米国株人気の高まり。投資歴6カ月以上の回答者の3割が米国の個別株に投資していることが分かった(上場投資信託を含む)。大手ネット証券の取扱銘柄拡充や手数料引き下げにより、投資のハードルが大きく下がったことが人気を後押ししたようだ。注目銘柄を聞くと、値上がり期待ではアップル、配当期待ではコカ・コーラが人気だった。

流入続く初心者は過半数が利益を上げた
4つ目は、初心者の流入が続き、その過半数が勝っていたこと。今回の調査では、回答者の11%を投資歴6カ月未満の初心者が占めた。初心者の51.9%が投資開始からプラスの利益を上げており、厳しい相場の中、大健闘した。

5つ目は、インフレを受けて節約意識の高まりが見られたこと。全体の29.2%が「既に節約を開始」、30.7%が「これから節約したい」と回答した。節約する費目(複数回答)については、食費(48.9%)、水道光熱費(39.7%)、娯楽費(33.9%)、日用品費(32.7%)が上位だった。
(市田憲司)
[日経マネー2022年8月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2022/6/21)
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