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邦銀の海外投融資、高リスクに傾斜 日銀の金融リポート

日銀は20日公表した金融システムリポートで、国内金融機関の海外投融資に関するリスクを分析した。世界的な低金利環境下で高い利回りを求め、資源開発など一部の事業向け融資が低格付けの案件に傾斜していると指摘した。米投資会社を巡る巨額損失問題が国内金融機関にも波及するなか、市場運用部門でも海外発のショックに影響を受けやすくなっている構図を浮き彫りにした。

日銀は金融システムの安定性を評価・検証するため同リポートを半年に1度公表している。今回は邦銀の海外向け融資と市場運用のリスクを詳しく分析した。

まず大手行などの手がける海外向け融資について、企業・事業向けなど5分野の格付け構成を点検した。大半を占める企業向け融資では7割近くが投資適格の案件だった。一方、資源開発を中心とするプロジェクトファイナンス(事業融資)では6割、航空機ファイナンス関連などでは7割近くが投資適格から外れた高リスクの案件だった。

海外における事業融資は、2008年のリーマン・ショック後に欧米の金融機関が規模を縮小するのと入れ替わる形で邦銀が存在感を高めてきた分野だ。石油・ガス関連の案件が多いのが特徴だが、国際社会で脱炭素の機運が高まるなかでエネルギー産業の将来には懸念が強まる。

航空機関連は新型コロナウイルス禍で旅客需要が急減し、航空機の価格が大幅に下がっている。低格付けの融資で返済が滞るリスクが高まりかねないだけに、日銀は海外向け融資について市場環境の変化に注意するよう警鐘を鳴らした。

国内金融機関の有価証券運用についても分析した。地方銀行などは投資信託や外国債券に積極的に資金を振り向けており、海外の資産価格が急落する場面では日本勢の損失が膨らみやすくなっている。

一方、欧米の投資ファンドが日本企業を買収するなど、海外から日本への投資も増えつつある。ファンドの日本株売買が銀行の保有する持ち合い株の価格に影響するといった余波も生じやすい。リポートでは、国内の金融機関と海外の投資ファンドの間で資産構成の重複が進んでいるとして、海外発のショックが国内に波及しやすい構図を指摘した。

低金利環境の長期化で貸し出しによる利ざやが縮小し、海外への投融資を収益の柱に据える銀行は多い。3月に表面化した米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントを巡る損失は、日本の金融機関が海外との顧客取引を拡大するなかで起きたが、こうした問題が特殊な事例とは言い切れない可能性もある。

金融機関が財務の健全性を維持するには、投融資のリスク管理の徹底が必要になる。日銀が金融機関に対して実施する21年度の考査では、リスクに見合った内部管理体制が整備されているか重点的に点検する方針だ。

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