円安だから改めて注目したい 国内株アクティブ投信
投信ランキング(国内株アクティブ型投信 3年リターン)

投資信託への資金流出入をカテゴリー別に見ると、2022年1~10月に最も資金を集めたのは先進国株インデックス型投信だった。次が先進国株アクティブ型投信で、海外株投信の人気がうかがえる。
海外株投信は為替リスク大
パフォーマンスも良好だ。海外株式の代表的な株価指数であるMSCI-KOKUSAI指数(円ベース)の過去3年の騰落率は19.4%。対して東証株価指数(TOPIX)の騰落率は7.5%にすぎない。ただ、為替の影響を控除した現地通貨ベースのMSCI-KOKUSAIの騰落率は8.2%で、TOPIXと大差ない。
現在の海外株の好成績は円安によるかさ上げ効果が大きく、円高に振れると低下する可能性が高い。足元のような歴史的な円安状況下では為替リスクのない国内資産への投資は理にかなう選択だ。そして、国内株式で運用するアクティブ型投信は有力な選択肢となる。
アクティブ型よりもインデックス型の方が優れているとの主張もあるだろう。実際、先進国株式へ投資するアクティブ型投信とMSCI-KOKUSAIを比較すると、主要投信149本のうち、インデックスに勝った投信は24本しかない(下図)。
一方、国内株のアクティブ型投信は、83本のうち37本が勝っており、中にはインデックスの3倍近いリターンを出す商品もある。好成績商品を見極めるのは難しいが、複数の商品に分散投資することでインデックスに勝つ余地はあろう。

成績上位は中小型株投信
アクティブ型の国内株投信の3年リターンランキングを紹介する。1位はアセットマネジメントOneの「企業価値成長小型株ファンド」。中小型株の中から利益成長による将来のROE(自己資本利益率)の水準やその改善に着目し、企業価値の成長が見込める銘柄を厳選することで、中長期的な値上がり益の獲得を目指す。組み入れ銘柄は、オンライン旅行代理店のアドベンチャー、医療介護求人サイトのメドレー、有料老人ホームのアンビスホールディングスなど61銘柄(2022年10月末時点)。
3位は野村アセットマネジメントの「小型ブルーチップオープン」。中長期的に市場平均を上回る成長が期待できる国内の中小型銘柄に投資する。
運用においては、外部環境の変化に対応できる企業に着目した銘柄の選別、メリハリの利いたウエート戦略、投資環境の変化に応じた機動的なポートフォリオ変更といった特徴がある。組み入れ銘柄は、いすゞ自動車、第一三共、SOMPOホールディングスなど65銘柄だ(2022年10月末時点)。

投資信託を選ぶ時のポイントには騰落率や資金の流出入額など、様々な視点がある。この連載では、投信のプロが旬のジャンルをピックアップして最適な項目でランキング化。上位に入る注目の投信を解説する。
(格付投資情報センター 田中翔平)
[日経マネー2023年2月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
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