高配当株で資産9000万円達成 年間配当は230万円
配当・優待長者のスーパー投資術(1)


猫になりたいさんは高配当株投資で資産を築いてきた個人投資家だ。約90銘柄を保有し、2022年の配当収入は約230万円(額面)。配当は全て再投資しており、約9000万円の総資産は数年内に1億円を超えると考えている。
猫になりたいさんが高配当株投資に取り組むきっかけになったのは、08年のリーマン・ショックだ。値上がり期待で新興株から大型株までいろいろな銘柄を手掛けていたが、保有株が全て大暴落。数百万円の損を被ってしまったのだ。

高配当株を割安な時に買う
「相場は読めない」と痛感し、高配当株を暴落時に買って長期保有するというスタンスに投資方針を切り替えた。ただし、配当利回りだけを見ているわけではない。むしろ重視しているのは成長性と株価の割安度だ。
08年頃、猫になりたいさんは業績から見ても明らかに割安だった配当利回り4%のノジマを買っている。その後、株価は上昇し、配当も増えた。足元では株価は18倍以上、利回りは買値ベースで約34%を超えるまでになっている。

この成功体験が銘柄選びのベースになった。EPS(1株当たり純利益)が長期目線で増えていて、PER(株価収益率)が1桁台、PBR(株価純資産倍率)が1倍割れの銘柄が望ましい。加えて、海外でも稼げるビジネスモデルを確立していることや、経済ショック時などを除いて過去に減配がないこと、配当方針として「累進配当」を掲げていることなども重視しているという。
長期保有の原動力になる魅力的な株主優待があることも銘柄選びのポイントだ。交通費や宿泊費を優待で賄って応援しているロックバンドのライブに行ったり、カラオケや家電の支出も一部を優待で賄ったりしており、投資自体を楽しんでいる。
仕上げは買いのタイミングだ。目星を付けた高配当株は相場全体が大きく下げた局面で仕込む。現在の保有株にもチャイナ・ショックやコロナショックで仕込んだ銘柄が数多く含まれている。
「暴落は買いのチャンス。パニックの中で冷静に選んで購入した銘柄が、配当だけでなく含み益の増加にも貢献している」
平時にも高配当株を買うが、年初来安値を付けたタイミングで買うように心掛けている。22年は住友林業や稲畑産業などを、相場全体の下落に伴って値下がりしたところで買い付けた。
債券・REIT投資も検討
着々と資産と配当を積み上げる猫になりたいさんの当面の目標は手取りで月20万円の配当(額面で年間配当約300万円)を確保することだ。

「仕事を辞めるつもりはないが、病気やケガで仕事ができなくなっても月20万円あれば安心。FIRE(経済的自立と早期リタイア)のうち、前半のFIは目指したい」
さらに将来的には米国株のインデックス、債券、不動産投資信託(REIT)の割合を徐々に増やしていきたいという。理由は、相場は読めないという思いが強いからだ。
「高配当株といえども個別株のリスクは高い。年を重ねるにつれて、資産を分散してリスクは下げていきたい」
(本間健司)
[日経マネー2023年3月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2023/1/20)
価格 : 800円(税込み)
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