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米中の景気刺激策で相場上昇 日銀保有ETFの活用も

プロが直言 「骨太の方針」のインパクトと年後半の投資戦略(3)

政府が6月に閣議決定した「骨太の方針」と「新しい資本主義」の実行計画。岸田文雄政権の看板政策が株式市場に及ぼすインパクトと、今年後半に取るべき投資戦略を4人のプロに聞いた。3人目の大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストが注目しているのは資産所得倍増プランだ。個人非課税口座を活用した「貯蓄から投資へ」と「日銀の出口戦略」を同時に実現するウルトラCの施策も考えられるのではないかと語る。

――「骨太の方針」の注目点は。

「資産所得倍増プラン」です。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の抜本的な拡充で個人の投資を促す計画です。

具体的な内容の検討はこれからですが、今まで「貯蓄から投資へ」の旗を振っても動かなかった層を動かすには、大きなインセンティブが必要。一つの案として、日銀が保有するETF(上場投資信託)を格安で購入できるようにする施策が考えられます。

例えば、個人がNISA口座で日銀からETFを簿価で購入できる代わりに、65歳まで売却できない制限を設ける。こうすれば、「貯蓄から投資へ」と日銀のETFの出口戦略が一気に進みます。

また、海外投資家が日本株を敬遠する理由として、「日本人が買わない日本株をなぜ我々が買う必要があるのか」「日銀のETFがいつ売却されるか分からない」といった声を聞きます。こうした不満も解消できるので、海外投資家の買い需要も高まります。

――他の注目点は。

自民党の総合政策集「J-ファイル」にある政策ですが、国土強靭化や都市防災の推進に注目しています。1950~70年代に造られた都市部のインフラは老朽化が進み、その再構築は待ったなしの状況です。昨年の東京オリンピックで東京周辺は整備されましたが、その他の都市部はこれから。関連銘柄は恩恵が大きいでしょう。

米金融政策の転換に期待

――今後の相場見通しは。

年後半に米国と中国が共に景気刺激策を打つことで、世界的にリスクオンになるとみています。米国では大統領選挙の前年のGDP成長率がプラスにならないと再選が難しくなるので、今年の後半から景気刺激策を打つ必要があります。中国も秋の共産党大会に向けてゼロコロナ政策を終了し、景気浮揚に努めると考えられます。

――米国はインフレ懸念が残りますが。

米国のインフレ率はピークアウトし、過度な引き締め策は転換するとみています。それがリスクオンの合図になります。1回の利上げ幅を縮小するだけでなく、場合によってはインフレ目標自体を現在の2%から3%程度に引き上げるかもしれません。8月のジャクソンホール会議に注目です。

日経平均株価は来年3月に3万2000円が目標です。特に運輸をはじめとする観光関連が期待できます。

(聞き手は市田憲司)

[日経マネー2022年9月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年9月号 下落相場でお買い得度が倍増! お値打ち上昇株で勝つ
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出版 : 日経BP(2022/7/21)
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