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健康保険料の負担を直視、本番は「2022年危機」

知っ得・お金のトリセツ(46)

新社会人もそうでない人も、税や社会保険に対する「自分の負担」分かっているだろうか? 鉄板で分かるのは多分、消費税の10%ぐらい。それ以外の所得税や住民税、その他社会保険料となると税率や保険料率が何%なのか、実額でいくら払っているのか即答できる人は少ないだろう。会社員の場合、毎月のサラリーが給与口座に入る前に天引きで「知らない間に引かれる」ので感覚がまひしがちだ。

天引きの中でも「盲点」になりがちな健康保険料

毎月払う社会保険料は全部で4つ――年金、健康保険、介護、雇用だ。中でも負担に対する感度が一段と鈍くなりがちなのが健康保険料(40歳以上の場合、介護保険料も加わる)ではないだろうか。なぜなら基本的に制度が全国一律の年金・雇用の両保険料に対し、健康保険は自分が加入する保険者ごとにルールも負担額もまちまちだからだ。

厚生年金保険料の場合、料率は現在18.3%でこれを労使が折半で負担する。一応料率は上限に達したことになっているが、これが引き上げともなると全国的に大きなニュースになるのは間違いない。一方の健康保険料。数ある保険者の全国平均はザックリ10%程度だが料率はバラバラな上、さらにそれを労使が何対何で負担するかの決まりもない。それぞれなのだ。値上げタイミングも決まっていないが、健保の決算期に合わせ春から上げるところが多い。だからこそ、この春はおのおのじっくり自分の給与明細を見てみよう。昨春比では健康+介護保険料でかなり値上がりしている人が多いはずだ。1カ月では数千円の負担増も1年分となると万円単位だ。

計算式は標準報酬月額×料率×負担割合

計算の基になるのは「標準報酬月額」とよばれる、月給の端数を丸めてレンジに当てはめて計算するテーブル。例えば21万円以上23万円未満のレンジの人は全員「22万円」として計算する。そこに健保が決めた保険料率を掛け合わせ、労使で分担する。健康保険組合連合会(健保連)のデータによると平均保険料率は2020年度まで13年連続で上昇。被保険者1人当たりの平均年間負担額はこの間、11万円強(労使合計)も増加した。昨年はコロナ禍で最新データの発表がなかったが、健保連は22日に21年度の最新データを基にした集計発表を予定している。

今年も負担増は確実だが、それ以上に問題なのは「本番は2022年度」(健保連)なことだ。22年度に何が起こるか? 戦後のベビーブーマー、団塊の世代の先頭グループが75歳以上の後期高齢者になり始めるのだ。全員が後期高齢者になる25年については「2025年危機」として医療・介護財政の逼迫が予言されてきたが、現場の負担感としてはいち早く22年度から危機モードに入るという。

いくら増えるか?  納付金次第

増える方向性は分かっていても現状で実際の負担額がいくらになるかが分からないのが悩ましいところ。年初に国からそれぞれの健保が納めるべき納付金を計算する基になるパラメーター(変数)が示されるが、それまでは実際の額はわからない仕組みだ。健保の中には22年度の負担増を見据えて、今年は「貯金」を取り崩し、保険料率アップは来年にとっておく戦術をとるところもあるという。今年上がらなかったからといって油断は禁物なのだ。

また「ウチは会社負担の方が手厚いから」と喜ぶ会社員もいるが、それも喜んでばかりはいられない。保険料を多く負担する会社はおのずと賃上げに回す原資を絞らざるを得ない。給料に回すか、保険料として負担するか――人件費のパイは大きくはならないのだ。超高齢化という人口動態の中で経済活動を行う日本企業は業績という自助努力だけでは解決できない重荷も背負っている。世界に誇る国民皆保険を支える負担は年々、その重さを増している。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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