JPXとJEPX、電力市場で協力 情報交換でリスク管理強化

日本取引所グループ(JPX)と日本卸電力取引所(JEPX)は19日、電力の市場機能や競争力の強化を目的とした覚書(MOU)を交わした。発電燃料の高騰などで電力価格が上がるなか、電力の先物市場を運営するJPXと現物市場を担うJEPXが協力し、市場参加者の拡大やリスク管理の強化に取り組む。
具体的な内容は今後詰める。JPX傘下で電力先物市場の運営を担う東京商品取引所の石崎隆社長は「まずは情報交換によってリスク管理を強化し、(より効率的な)資金管理も含めた体制の構築も検討したい」と話す。
北欧など海外では現物と先物を同じ取引所で扱い、市場参加者がデポジット(預かり金)を共通に利用できる例もある。
電力取引は総発電電力量の30~40%がJEPXの現物市場を介しており、JPXの先物は1%ほどを占める。東京商品取引所の電力先物は2022年4月に本上場し、取引参加社は当初の13社から約160社まで増えた。国内の電気事業者をはじめ、海外の電力トレーダーや金融機関などが利用している。
ウクライナ危機を受けた電力卸売取引価格の高騰で、市場価格に応じて電気料金が変動する市場連動型契約に切り替える例も出ている。価格変動リスクを回避するため、電力先物市場では最終需要者である製造業やデータセンターからの問い合わせが増えているという。
関連企業・業界
業界: