10億円稼いだスゴ腕 複数ツールで銘柄分析の手間を軽減
スゴ腕投資家のITツール活用術(上)


数億円の資産を株式で運用する40代の専業投資家、DAIBOUCHOUさん(ハンドルネーム)。不動産流動化の関連銘柄への集中投資が奏功し、2006年に資産を10億円まで増やしたことで知られる著名個人投資家だ。
このスゴ腕は、銘柄発掘で複数のITツールを使いこなしている。投資家向け広報(IR)イベントの出展企業から有望銘柄を探すケースを例に活用法を見ていこう。
最初に使うのは複数の銘柄のチャートを一目で比較できるツールだ。DAIBOUCHOUさんは、ネット上で無料で提供されている「エレフォロ チャートリスト」というツールを利用している。複数のチャートをタイル状に一度に表示するのが特色だ。「事業内容やチャート、業績といった最低限の情報でも、何十社もの参加企業すべてについて調べるのは大変。このツールはその手間を省いてくれる。ストライク銘柄をより分けるのに重宝している」とDAIBOUCHOUさんは話す。
成長性と割安度をチェック
めぼしい銘柄が見つかったらマネックス証券の銘柄分析ツール「銘柄スカウター」の出番だ。DAIBOUCHOUさんが知りたいのは、気になる銘柄の成長性と足元の株価水準の判定だ。そこで活躍するのが、長期の業績データと過去のPER推移を調べる機能だ。
成長性を調べるために、今期、来期だけでなく、過去10~20期の実績もチェックする。事業別の推移を調べれば、全社の業績が伸び悩んでいても、新規事業は伸びている隠れ成長企業が見つかるケースもあるだろう。
また、成長企業でも高値づかみでは儲からない。株価が割安か否かもチェックする。こうした銘柄分析が銘柄スカウターの機能を使うと比較的簡単にできるという。
他にも多くのツールを使いこなすDAIBOUCHOUさんだが、最終的な投資判断を下す前には、財務諸表や決算説明会資料などの1次情報や業務内容のチェックもしっかり行う。
とはいえ、「ITツールを使えば、少なくとも自分の投資スタイルにとってストライク銘柄なのかボール銘柄なのかは判別できる。これだけでも銘柄を探す作業は格段に楽になる」そうだ。
活用ツール1 マネックス銘柄スカウター
気になる銘柄の業績推移をチェック
気になる銘柄をある程度絞り込んだら、マネックス証券の「銘柄スカウター」で銘柄分析。「長期の業績の推移や成長性をチェックできることに加え、セグメント別の業績の推移や、過去のPERの水準が確認できるところが便利」。セグメント別の業績の推移では、どのビジネスが伸びているかなど、成長性の中身を深掘りできるという。

活用ツール2 ログミーファイナンス
定性情報を深掘り
業績などの数字による評価で有望だと思えたら、企業の定性的な情報を「ログミーファイナンス」などでチェックする。ログミーファイナンスは、名刺管理ソフト大手のSansanの子会社で、講演などを文字に書き起こして掲載するメディアを運営するログミーの運営サイトの一つ。決算説明会の内容をテキスト化して即日公開している。

活用ツール3 カビュウ(スマホアプリ)

保有銘柄の管理にはスマホアプリの「カビュウ」を活用する。これは、ソフトウエア開発のテコテック(東京・港)が提供しているアプリだ。保有株の利益や取引内容をチェックできるが、DAIBOUCHOUさんは適時開示関連の機能を活用している。「決算予定を確認したり、適時開示の速報を受けてすぐ確認できたりするのが便利」(DAIBOUCHOUさん)。一部機能は有料。
(本間健司)
[日経マネー2022年12月号の記事を再構成]
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