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黒田総裁、長期金利の変動幅「拡大必要ない」

(更新)

日銀は17~18日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。長期金利の許容上限は0.5%程度のまま維持した。市場では長期金利の上限を引き上げた22年12月に続き、日銀が再び政策修正に踏み切るとの観測が広がっていたが緩和の縮小は見送った。物価上昇率見通しは2022年度は3.0%、24年度は1.8%と22年10月公表時点から引き上げ、23年度は1.6%に据え置いた。

黒田東彦総裁は午後3時半から記者会見した。長期金利の許容上限を0.5%程度のまま維持することについて、黒田総裁は「長期金利の変動幅をさらに拡大する必要があるとは考えていない」と述べ、大規模な緩和策を続ける考えを強調した。

物価見通し「上振れリスク大きい」

物価の現状について「目先、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から高めの伸びとなる」と述べ、「物価見通しは上振れリスクの方が大きい」とした。緩和策を続けることによって「企業が賃上げをできる環境を整えることが重要だ」と語った。

新たに決めたのは国債利回りを押し下げるための追加策だ。銀行など金融機関が持つ国債や社債を担保に、日銀が低い金利で国債を購入するための資金を供給する「共通担保資金供給オペ」を拡充する。銀行などに国債の購入を促す。日銀の大規模な国債買い入れで債券市場の機能低下が進むなか、日銀が直接国債を買わなくても国債利回りの低下を促せるようにする。

資金供給オペ「金利を低位に安定」

黒田総裁は「長期金利を適正な形にして、低位に安定させる効果がある」と指摘した。さらに「ツールを拡充したというのはその通りだが、これが長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の限界を示しているということではない」と市場の修正観測を一蹴した。

マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)の買い入れといった政策は維持した。

日銀は12月の決定会合で、企業の社債発行など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあることを理由に長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大し、大規模緩和を部分的に修正した。長期国債の購入額を従来の月7.3兆円から月9兆円程度に増額し、10年物国債を0.25%の利回りで無制限に毎営業日購入する「連続指し値オペ」の利回りを0.5%に引き上げる措置も講じた。

国債購入が急増「特別なリスクない」

ただ、市場では日銀が緩和路線を転換するとの観測が絶えない。新発10年物国債の利回りは日銀が上限とする0.5%を4営業日連続で上回った。日銀は金利の上昇を抑えるために10年債を大量に購入しており、8、9年物国債の利回りが10年債を上回るといったゆがみが残る。

黒田総裁は「(長期金利の変動幅を拡大する)運用の見直しからはさほど時間がたっていないので、これらの措置が市場機能に及ぼす影響を評価するにはなお時間を要すると思うが、機動的な市場調節運営を続けることで、今後は改善していく」との見通しを語った。日銀の国債購入が急増し、発行残高の半分以上を保有していることについては「何か特別なリスクがあるとは考えていない」と述べ、現在の金融政策は持続可能であると説明した。

リスクは海外経済

会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、22年度の物価見通しを10月公表時点の2.9%から3.0%に、24年度は1.6%から1.8%に引き上げた。23年度は1.6%のまま据え置いた。足元では政府・日銀が掲げる2%の物価目標を上回って推移しているが、政府による電気・ガス料金の負担緩和といった経済対策もあり「23年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく」とみている。

22年度の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しは、10月時点の前年度比2.0%から1.9%に、23年度は1.9%から1.7%、24年度は1.5%から1.1%にそれぞれ引き下げた。欧米の利上げが続く中で、「グローバルな金融環境が一段とタイト化し、海外経済が下振れるリスクがある」という。

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