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生命保険販売の監督指針改正 保障内容は自分でも設計を

生保損保業界ウオッチ(生命保険)

保険加入の提案を受けた人が、セカンドオピニオンを求めて相談に来られるケースがあります。提案の根拠がどう示されたのかを聞くと、「サラリーマンだから」とか「皆さん大体このくらい」など、明確ではない場合がほとんどです。

「サラリーマンは公的保障や福利厚生制度があるので、保険金額はさほど大きくなくても大丈夫」と言われることはあるようです。しかし具体的な内容を示さず、「だからこのくらいの保険で」と結論に至ってしまうのがよくあるパターンです。

じっくり調査してみると……

セカンドオピニオンの相談者に「ねんきん定期便」や福利厚生制度などの資料を持参してもらい、資産状況などを加味しながら保障設計を行うと、ほぼ全てのケースにおいて、ファーストオピニオンで示された保険金額よりもはるかに小さい金額になります。つまり、公的保障などをしっかり説明せず、過剰な保険販売が行われている可能性があるのです。

このような実態を危惧したのか、金融庁は「保険会社向けの総合的な監督指針」等を一部改正しました。パブリックコメントを経て、2021年12月28日から適用されています。この改正により、金融庁が「監督上の着眼点として明確化する」ために、保険会社や保険募集人に求めたことは、主に次の4つの点です。

●顧客に対して公的保険等に関する適切な情報提供を行う
●情報提供を通して顧客に自らの抱えるリスクを理解してもらう
●自らの抱えるリスクに応じた保障の必要性を顧客に理解してもらう
●上記の手順を踏まえた上で、顧客の意向に沿った保険契約の締結が図られるようにする

公的保障も具体的に明示

そもそも保険業法は、顧客の意向を把握し、それに沿った保険を提案しなくてはならないと定めています。そして、顧客の意向と保険契約の提案内容が合致しているかどうかを確認する機会を、顧客に提供するよう求めています。

どのような方法で「合致している」ことを確認するかがとても重要なのですが、従来の監督指針には具体的な言及がありませんでした。しかし改正指針では、「公的年金の受取試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど」となっており、一般論ではなく、顧客自身の公的保障の内容を具体的な数字で示す必要性が明示されました。

実効性を担保するには、保険募集人などへの教育体制が重要になりますが、改正指針では「公的保険制度に関する適切な理解を確保するための十分な教育」を行うことも明記されています。これらを受けて、保険会社や保険代理店などでは、様々な取り組みが行われているようです。

設計に主体的に取り組む

オリックス生命保険では、保険販売に活用するための公的保障試算ツールを用意し、併せて、知識をインプットする一方向型の研修ではなく、ロールプレイングやフィードバックなど、双方向での研修を実施していく予定です。また、保険募集人個人や代理店単位で公的保険アドバイザー(一般社団法人公的保険アドバイザー協会が認定する資格)の資格取得を目指す動きもあります。

顧客側としては歓迎すべきことですが、さらに福利厚生制度や資産状況、家族の稼得能力など、個別事情についての情報を加味した保障設計となるよう、お任せではなく自ら主体的に設計に取り組むことが大切です。

特約や補償範囲などが商品によって異なる保険の比較はなかなか大変。この連載では保険に詳しいファイナンシャルプランナーが商品選びの勘どころを紹介します。

内藤眞弓(ないとう・まゆみ)
大手生命保険会社勤務の後、ファイナンシャルプランナーとして独立。生活設計塾クルー取締役を務める。『医療保険はすぐやめなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。一般社団法人FP&コミュニティ・カフェ代表。

[日経マネー2022年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年7月号 ウクライナ危機後も続く ニューノーマル相場に勝つ
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/5/20)
価格 : 750円(税込み)
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