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緩和相場の終焉で好機到来 割安株を押し目で拾う

プロに聞く 新年度の株式投資戦略(上)

ロシアのウクライナ侵攻やインフレなどのリスクが浮上し、株式市場の先行きに不透明感が増している。そうした中、新年度の相場で成果が見込まれるのはどのような投資戦略なのか。2人のプロに見解を聞いた。前編では、小型のバリュー(割安)株の運用で卓越した運用成績を挙げてきた腕利きのファンドマネジャー、苦瓜達郎さんの戦略を紹介する。

――投資環境についての見方は?

ロシアによるウクライナの侵攻という異変が起きたが、基本的には米国が金融緩和から引き締めに転じて、あらゆる金融資産に緩和マネーが流れ込むという状況が終わる転換期にあるとみている。

ただ、私が一貫して投資してきた時価総額の小さいバリュー(割安)株は、緩和から引き締めへの転換の影響が最も小さい。組み入れ銘柄のほとんどは予想PER(株価収益率)が10倍を切っていて、予想株式益回りは10%以上ある。金利が上昇してもイールドスプレッド(長期金利と株式益回りとの差)が依然大きく、投資妙味は著しく低減してはいない。

一方で、小型でもグロース(成長)株は緩和マネー退潮の影響が大きく、大幅に下落している。だが、調整は終わっていない。

――であれば、小型の銘柄でも、グロース株よりバリュー株を選好されますか?

バリュー株を選ぶ方が無難と考えている。日本の小型バリュー株はまだ買い上げられておらず、割安な価格で放置されているからだ。半面、最近IPO(新規株式公開)した銘柄が大幅に下落して投資妙味が高まっている。ただ値動きのボラティリティー(変動率)が大きく、売買には注意が必要だ。

IPO銘柄の魅力が拡大

――割安な小型株が多い業種は?

製造業関連だ。米中摩擦や新型コロナウイルス禍で打撃を受けた企業が多いが、全滅してはいない。中には影響を受けずに業績を伸ばしている企業も少なくない。

供給制約やインフレを背景に値上げもできるようになって、利益をしっかりと上げている。それにもかかわらず、値下がりしている銘柄が多い。例えば、私が運用している「ニッポン中小型株ファンド」の組み入れ上位の銘柄では、日鉄物産黒崎播磨大紀アルミニウム工業所がそうした銘柄に該当する。

――最近IPOして大幅に値下がりしている銘柄の売買では、どんな注意が必要なのでしょう?

私は反騰局面や急落中の局面では買わないようにしている。安値圏で急落していない時に購入することを心掛けているので、買える日が限られる。反騰したらIPO銘柄は追い掛けず、バリュー株を買い増しする。

流動性が低いために少しずつしか買えないので、組み入れ上位に顔を出す銘柄はないが、直近IPO銘柄の組み入れ比率は高まっている。それも、昨年11月末からグロース株が売られて下がるようになり、直近IPO銘柄も大きく値下がりして魅力が増したからだ。それ以前は直近IPO銘柄にはさほど投資していなかった。

――保有している直近IPO銘柄はどの業種が多いのですか?

IPOする銘柄自体が情報通信とサービスで多いので、この2つの業種に偏っている。ただ、クラウド関連や赤字の銘柄にはピークから半値まで下がっていても、まだ割高なものが少なくない。そうした銘柄は買っていない。

今は株式投資を始める好機

――東京証券取引所の市場再編が運用に及ぼす影響は?

大きな影響はない。小型株に特化しているので、市場区分はさほど気にしてはいない。ただ、マイナスの影響は限定的にある。東証1部からプライム以外の市場に移行した銘柄や経過措置でプライムに残留した銘柄がTOPIX(東証株価指数)の組み入れから外れれば、売りがかさんで値下がりすることが見込まれるからだ。

もっとも、プライムに残れそうにない銘柄は既に1年以上前から売られていて、影響が価格に織り込まれたものが多い。だから影響は限定的だとみている。

――ロシアのウクライナ侵攻で相場全体が急落して、戸惑っている個人投資家へのアドバイスは?

長期投資では、相場全体が下落して株価が割安な時にスタートした方が圧倒的に有利だ。株式投資を始めるのは1年前よりも今の方が絶対にいい。

既に株式投資を始めていて相場急落で痛手を被った人、特に若い人には「未来はいくらでもある」と言いたい。損切りしても、損切りせずに塩漬けにしてもいい。その上で今新しいやり方を試してみるのも悪くないと思う。

株式投資は今の日本ではかなりまっとうな投資手段の一つだ。割高な時に始めてしまった人はそれを反省して、割安な時のエントリーを心掛けるといいだろう。

(中野目純一)

[日経マネー2022年5月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年5月号 新年度の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/3/19)
価格 : 750円(税込み)
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