/

22年投資戦略 米国株の上昇鈍化・アジア新興国株に妙味

プロが解説 新年の海外投資戦略(上)

投資の対象を海外に広げれば、株だけでなく為替や商品など様々な投資対象が選択肢に加わり、資産運用の幅が広がる。2022年は海外のどの金融商品に投資妙味が生じるのか。プロの見通しと有望な戦略を3回にわたって紹介する。初回は米国株を中心に海外株の動向と戦略を見ていく。

「2021年に米国株は大きく上昇し、米S&P500種株価指数の年初からの上昇率は最大で25%余りに達した。22年はこれほど大きな上昇は望めないだろう」

SBI証券のシニア・マーケットアナリスト、榮聡さんとマネックス証券のチーフ・外国株コンサルタントの岡元兵八郎さん。2人のウオッチャーの見方は一致した。2人とも「22年のS&P500の上昇率は8%程度」とみる。

根拠についても、2人ともS&P500の構成銘柄の平均EPS(1株当たり当期純利益)の増加率を挙げる。米連邦準備理事会(FRB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)と利上げ開始の前倒し、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による感染再拡大の懸念といった下落要因に直面しながらも、企業利益の着実な増加が株価を押し上げるという見方だ。

22年のS&P500構成銘柄の平均EPSの増加率は8%という予想が米国のアナリストのコンセンサス。この増加率と同程度の上昇が期待できると2人とも予想する。「S&P500の上昇率8%は過去30年の平均値でもある。コロナ禍からの急上昇は終わり、平年並みの巡航速度に戻る形だ」(榮さん)

新興国株に上昇の可能性

20年3月にコロナショックが起きた後は、コロナ禍が収束に向かって景気が回復することへの期待から、PER(株価収益率)が上昇する形で米国株の価格が回復した。S&P500の構成銘柄の平均PERは30倍近くまで上昇した。

21年に入ると、投資家の視線は「期待」から「実力」に移り、EPSの上昇に連動する形で株価が上昇した。それに伴って、S&P500の平均PERは12月22日時点で22.9倍まで低下した。「この水準でも長期の平均値よりは高い。22年には20倍を下回るようになるだろう」(榮さん)

また榮さんは、22年には米国株相場のボラティリティー(変動率)が大きくなる可能性があると警戒する。「10%を超える急落がなかった21年と対照的に、10%を超える局面もありそうだ」(同)

岡元さんは上昇の勢いは衰えるものの、堅調に推移するとみる。「21年に米国株市場に流入したマネーの内訳を見ると、個人が最も多く、企業の自社株買いがそれに続いた。企業の現金保有高や個人の待機資金は依然として高水準だ。22年もそれらのマネーが米国株市場に流入するだろう」(岡元さん)

米国株以外では、アジアの新興国の株が大きく上昇する可能性があると2人は予想する。榮さんは「海外の機関投資家は米国株に代わる投資先を探し始めている」との見方を示し、経常収支が黒字に転換したインドと経済成長が続くベトナムの株が上昇するとみる。

さらに、SBI証券の投資情報部課長で中国株の分析を担当する李燕さんは「中国株は21年に売られ過ぎて大きく下がった。政府の規制強化が緩む兆しもあり、22年には中国株が大きく反発する可能性がある」と指摘する。

岡元さんは「新型コロナウイルスのワクチンの接種が先に進んだ先進国で、コロナ禍からのリカバリーが先行した。それが新興国に広がり、新興国の株が全般的に上昇するだろう」との予想を示す。

新興国株にも資金を投入

こうした海外株の見通しを受けて、22年にはどんな投資を展開したらいいのか。岡元さんはやはり米国株を軸にすべきだと主張する。「政府の方針で突然ルールが変わる中国株市場のようなリスクがなく、世界で最も安心して取引できるのが米国株市場だ」と指摘し、米国株で次のような戦略を提示する。

まずは、コアで米国株の指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を長期保有する。次にサテライトで業種別ETFや個別株を売買し、指数を上回るリターンを狙う。「その上で余裕資金があれば、新興国や欧州の株に振り向けてもいいだろう」

榮さんも、米国株を中心にしつつ、中国やインド、ベトナムなどの新興国の株に資金を振り向ける割合を高めてもいいとみる。

「米国株では、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資を支援する企業の株に、安定的に市場平均を上回るパフォーマンスを期待できる」として、マイクロソフト(MSFT)やアクセンチュア(ACN)を例示する。

(中野目純一)

[日経マネー2022年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2022年2月号 2022年の稼ぎ方&上がる株
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2021/12/21)
価格 : 750円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

資産形成に役立つ情報を届ける月刊誌『日経マネー』との連動企画。株式投資をはじめとした資産運用、マネープランの立て方、新しい金融サービスやお得情報まで、今すぐ役立つ旬のマネー情報を掲載します。

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン