年齢で運用方針調節 老後資金作りに向くお任せ投資信託
投信ランキング(ターゲットデート型投信の純資産総額)

今回はバランス型投資信託の一種である「ターゲットデート型投信」を取り上げる。退職年など、あらかじめ設定した目標期日に向けてリスク性資産の比率を引き下げていく運用をする投信で、投資家のライフサイクルを考慮した仕組みになっている。
ライフサイクルを考える上でカギとなるのは「人的資本」という考え方だ。ここでの人的資本とは将来受け取る給与総額などの現在価値(金利などを割り引いた現在の価値)のこと。会社員なら就業時が最も大きく、退職時にはゼロとなる。
年齢に応じたリスクで運用

若年層は人的資本が大きく、また、運用に使える時間も長いので株価が調整しても回復を待つことができる。資産形成をする上では、若年層ほどリスクを取ることが可能であり、取った方がよい。
一方で人的資本も運用時間も年齢と共に減少していく。年齢が上がるにつれて株式の割合を減らしていくなど、適切なリスク管理が必要となる。
これを1つの商品で手軽に実践できるのがターゲットデート型投信だ。究極のお任せ投信と呼ばれることもあるが、複数の機能を備えた金融商品であり、商品を選ぶ際には幾つかの注意点もある。
具体的には①組み入れ資産の種類(資産クラスやインデックス型かアクティブ型か)②目標期日以後も運用を行うか③相場変調時にリスク低減措置を講じるか――などが商品選びのポイントになる。
老後の運用に商品性の違い
参考に純資産総額のランキングを紹介する。確定拠出年金専用商品は一般口座では買えないので注意が必要だ。
1位はりそなアセットマネジメントの「りそなターゲット・イヤー・ファンド2030」。組み入れ資産は国内と先進国の株式・債券・REIT(不動産投資信託)に加え、新興国の株式・債券も組み入れたパッシブ型。目標期日以後は国内と先進国の債券による安定性重視の運用に切り替わる。
2位は、野村アセットマネジメントの「マイターゲット2030(確定拠出年金向け)」。主な組み入れ資産は、国内と先進国の株式・債券のパッシブ型で、目標期日の5年前までリスク性資産を徐々に減らしていく。以降は株式を3割保有しつつ、基準価額が一定水準を下回ったら資産配分を変更して安定運用に切り替える。老後もある程度のリスクを取った運用をすることを前提としている。

(格付投資情報センター 田中翔平)
[日経マネー2022年12月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2022/10/21)
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