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「値上げ分だけ節約」を意識 生活の質は落とさず

2022年版 家計管理術(4)

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数十年ぶりの物価上昇元年となった2022年、家計管理術をどう考えるべきでしょうか。先週は固定費削減を考えましたが、今週は毎日の生活費を削る方法を探ってみます。

毎日数百円の支出が家計の半分を占める

総務省の家計調査年報によると、家計の消費支出のうち26%相当を食費が占め、家具・家事用品費、被服および履物、教養・娯楽費、交際費などの日常生活費に類する出費が20~25%くらいになるそうです(2人以上の勤労者世帯。20年)。

つまり、固定費を除けば1カ月でお金が飛んでいくうちの半分くらいは日々の小さな出費の積み重ねと考えてみてください。

そう考えると、先週洗い出した固定費の削減だけではなく、日々の日常生活費の支出削減も同じくらいしっかり考える必要があるとわかります。1回あたり100円あるいは200円くらいの決済はひとつひとつが小さなものですが、そこにもう一度焦点をあててみましょう。

企業側の物価上昇は大きく、すでに値上げを行った会社でも黒字に転換しない例があるようです。私たち個人は、少なくとも物価上昇に負けないくらいの家計の見直しを考えていくのが22年の家計管理術のポイントとなります。

1日当たりの「節約の目安」を考えておこう

とりあえず、最初にやってみたいのは「節約の目安」を設定しておくことです。家計簿アプリなどで食費や日常生活費が集約できているなら、出費全体の「5%はいくらにあたるか」を試算してみましょう。

例えば家族で30万円くらいを日常生活費として出費しているとしたら、月1.5万円をなんとか節約したいと考え、さらにそれを30で割って「1日あたり500円の節約が目安」と具体的な数字に落とし込んでおきます。「1週間あたり3500円くらい」としてもかまいません。

節約は目標のイメージづくりが大事です。ただやみくもに節約をすると苦しくなります。ゴールがどこにあるのかわからないまま、全力疾走するようなものだからです。それでは節約が続きません。

「今週のゴールはもうクリアした」とわかれば達成感が得られますし、気持ちは少し楽になります。「今週は節約を十分にがんばったので、週末友人と会うときの予算は確保されている」と思えば楽しい時間が過ごせるはずです。

数カ月もすれば、節約をした状態に慣れてきますので、強く意識をしなくてもよくなります。まずは日常生活費からどれくらい削るべきかをイメージしてみてください。

このとき、「今まで、どれくらい使っていたか」というデータを家計簿をベースに参照点とします。まだ節約を意識していなかった時点での家計簿のデータを用いるのが理想的です。

ダイエットでは「最悪の体重だった私!」という数字を心に刻みつけ、そこをスタートラインとして何キロやせたかを目指します。家計簿でも「最悪の支出状況」「普通に暮らしていた時点での支出状況」をベースにしないと、どれだけ削れたかがわかりません。

節約目標を考えるときも、1カ月くらい節約を意識して暮らした上にさらに5%削る目標を設定するとなると、2段階で節約を課すことになり、実現は苦しくなります。

アカウントアグリゲーション機能のある家計簿アプリなどは過去数カ月に遡ってデータ収集をできることもあり(アプリや金融機関の連携状況による)、これをうまく活用してみてください。

「あえて買わない」「あえて安いもの」を2週間ほど実践

日常生活費についても、コスト削減の基本は固定費と同様です。不要な支出をストップするか、割安な買い物に変更するのが基本戦術となります。

まず「あえて買わない」を実践してみます。とにかく買う量を減らせば、支出額が減る効果が表れます。といっても生活必需品はゼロにはできませんから、削っても困らない範囲を再確認する作業から始めましょう。

今日から2週間ほど、商品を購入する前に一度立ち止まって「買わなくてもいいのではないか?」と自問自答してみてください。「いつもの」という軽い気持ちの買い物ほどあえて買わないようにしてみます。

出社時や15時前後に軽い気持ちで買っているおやつやコーヒー、帰宅時にコンビニで買う食品、週末まとめ買いするスーパーマーケットの山盛りのカゴなど、レジに並ぶ前にいったんストップし、「買わないようにしてみよう」とか「数品減らしてみよう」というチャレンジをします。

数日過ぎてみて、それほどストレスがないなら買わなくても困らないものだったことになります。そんな商品が1週間で5~6品みつかれば、節約目標の半分以上がクリアできるはずです。

その次に「あえて安いもの」への置き換えを試みます。一定の年齢になると知名度の高いブランド商品を選ぶようになります。例えば、輸入牛肉ではなく国産牛肉を買うようになるなどです。でも2週間ほど、あえて安い商品をセレクトしてみましょう。価格が10%ダウンするけれど、満足度が数%程度しか変わらないなら、置き換えることで大きな節約になります。

これは当たり前の習慣を変えるということですから簡単ではありません。意識的に取り組む必要があります。とにかく「レジ前でいったんストップ」を繰り返してみてください。

そしてレシートをしっかり家計簿アプリに記録し、節約度合いを検証していきましょう。

どうしてもキープしたいものは維持していい

さて、日常生活費の節約で重要なことがもう一つあります。それは「楽しむ」ことです。

あえて買わない選択も、安いものを選ぶのも、変化を楽しむ気持ちでチャレンジしてみましょう。使う金額を減らすことをみっともないとか貧乏くさいとか考える必要はありません。たくさんお金を使って満足を買うのは誰にだってできます。むしろ、節約の実現は知的な取り組みだと考えるくらいがいいのです。

安いものを試して満足度が著しく低下するなら、そのときは元の商品に戻してもかまいません。今度は、同じ商品でも最安値を追うことを忘れないようにしましょう。

メリハリも大事です。平日は発泡酒でも、週末だけプレミアムビールを飲むというスタイルです。1カ月ずっと輸入牛肉にしろとはいいません。ときどき国産牛肉にする日も作ってバランスを取りましょう。ときどきは高い食材も買うなどして、自分や家族にご褒美の日を設けましょう。「毎日、割高」にしないことが大切です。

1日あたり100~200円の節約は割と見つけやすいのですが、500円くらいになってくると本気で家計簿をチェックする必要が出てきます。それでも、家計防衛のために節約の余地を見いだしていきたいものです。きっと、買わなくてもいいもの、より安い値段で買えるものが見つかるはずです。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「日本版FIRE超入門」(ディスカバー21)など。http://financialwisdom.jp
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