金利上昇で妙味増す外債投信 高利回りにはリスクも
投信ランキング(外国債券投信 資金純流出入額)

利回りの上昇で債券投資の魅力が増している。今回は債券に投資する投資信託の人気ランキングを紹介しよう。
債券価格は市場金利が上昇すると下落する。2022年は金利が上昇したため、債券投信のパフォーマンスは芳しくなかった。ただ、長期では債券投資に対する市場金利の影響はあまり大きくない。
債券投資の主役は利息
債券投資の収益の中身は、利息(インカムゲイン)と債券自体の価格変動(キャピタルゲイン/ロス)に分解できる。
下のグラフは、過去22年間の代表的な債券指数の推移の中身をインカムとキャピタルに分解したものだ。中長期でリターンを見るとインカムの積み上げによる貢献が大きく、直近で債券価格が下落していても収益全体はプラスを維持していることが分かる。中長期投資なら市場金利上昇による債券価格の下落を過度に恐れる必要はない。

債券のリターンを予測する上では、投資開始時の利回りは重要なポイントになる。ただ、一般的には高利回りの債券は発行体のリスクも高い。また、高利回り債券の中には、債券と株式の性質を併せ持つハイブリッド証券(劣後債や優先証券、CoCo債=偶発転換社債=など)というものもある。
これらは株価の急落局面などでは損失が発生しうる投資対象だ。債券投信でも債券に投資する以上、高い利回りの源泉が何かを的確に理解しておくことが重要だ。
ヘッジありも有力な選択肢
今回は投資家の人気を示す資金純流出入額に着目した外国債券投信のランキングを紹介する。上位10商品のうち、8商品が「為替ヘッジなし」、2商品が「為替ヘッジあり」となった。為替ヘッジなしは投資時期の為替レートの影響を大きく受ける。歴史的な円安、かつ各種債券の利回りが上昇している昨今は、為替ヘッジありで投資することは有力な選択肢だ。今回はランキングの中から為替ヘッジありの商品を2本紹介する。
1本目は野村アセットマネジメントの「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド Aコース」。債券運用で定評のある米ピムコが実質的な運用者で、世界各国の多種多様な債券を対象に質の高いインカムを発掘する。機動的に資産配分を調整し安定した運用実績を目指す。23年1月末時点で1844銘柄に投資している。
2本目はパインブリッジ・インベストメンツの「パインブリッジ・キャピタル証券ファンド(為替ヘッジあり)」。世界の金融機関が発行するハイブリッド証券に投資することで、高い利回りの獲得を目指すという。23年1月末時点で112銘柄に投資しており、内訳はCoCo債が60.2%、劣後債が16.5%、優先証券が14.4%となる。

(格付投資情報センター 田中翔平)
[日経マネー2023年5月号の記事を再構成]
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2023/3/20)
価格 : 800円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス