年間配当は1200万円 株主優待も外食中心に楽しむ
達人の配当&優待ライフ(上)

「妻と結婚していなかったら、投資で成功することはなかったと思います。感謝しています」

こう語るのは、専業投資家の配当鳥さん(ハンドルネーム)だ。不動産投資で1億円を超える資産を築き、勤めていた保険会社を2012年にアーリーリタイアして専業投資家に転身した。その後は株式投資で利益を積み重ね、資産を4億円余りに膨らませた。
この成功の立役者として妻の存在を挙げる理由の一つは、節約上手の彼女のおかげで投資の元手をつくることができたからだ。
3年で1000万円の貯金
「今日から家でビールを飲むのはやめ、発泡酒に切り替えます」
結婚して2カ月目にこう切り出した妻に説得され、彼女の指導の下で節約に取り組む。そこからわずか3年で1000万円を貯金できた。その一部を元手に投資を始めたのは、配当鳥さんの転職がきっかけ。新しい会社になじめず、ストレスで疲弊した。「いざとなったら会社を辞められるだけの資産を持ちたいと思って始めました」
最初は株式投資やFX(外国為替証拠金)取引を手掛けたが、失敗を重ねて資金は半減。そこで不動産投資に転向し、賃貸アパートの経営に乗り出す。残った資金を頭金にし、残りの購入資金は銀行融資で賄った。ピーク時にはアパートを3棟所有したという。
先述した通り、この不動産投資が奏功して資産が1億円を突破。配当鳥さんは念願のアーリーリタイアを果たした。だが、ここでアパートを売却して、不動産投資からは足を洗った。「アパートの価値が年々目減りしていくのが気になったからです」(配当鳥さん)

再挑戦で株式投資にも成功
そして株式投資に再チャレンジした。一度は断念した株式投資で成功できたのは、試行錯誤の末に編み出した独自のペアトレードのおかげだ。特定の2銘柄を対象にして、値上がりした方を売って、値下がりした方を買うという取引を繰り返し、細かい利益を積み重ねる。この投資法を原動力に、資産を4億円余りに増やした。現在は大きな値上がり益を狙った中長期投資にも取り組む。

昨年に受け取った配当の総額は、約1200万円。年間配当の1割は再投資に回し、残りは生活費に充てている。妻と二人暮らしで、犬を2匹飼っている。賃貸マンションの賃料は月35万円だ。節約に励む必要性はなくなり、家でもビールを飲めるようになった。だが「高額の買い物はしないですね。思い当たるのは、歯のインプラント治療代くらいです」と語る。
結婚前に、10周年と20周年の記念に妻にダイヤモンドを買う約束をした。実際に購入資金として10周年に100万円、20周年に200万円を渡したが、妻はそれで株を買った。配当鳥さんが株に専念できるのも、やりくり上手の妻が生活費の管理を一手に引き受けてくれているから。立役者とするもう一つの理由だ。

使い勝手のいい株主優待がある銘柄は、値上がりしても優待を受け取る分だけの株数は売らずに残し、優待を楽しむ。その優待を管理しているのも妻だ。チェックリストを作って使い残しが出るのを防ぐ。「昨年のクリスマスのチキンも、株主優待で調達していました」と配当鳥さんは笑う。
(中野目純一)
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2022/1/20)
価格 : 750円(税込み)
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