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米金融政策決めるFOMC参加者が個人的に株投資

米連邦公開市場委員会(FOMC)のなかで代表的タカ派メンバーのカプラン・ダラス地区連銀総裁が個人的に株式を活発に売買していた。さらにローゼングレン・ボストン地区連銀総裁など大多数の地区連銀総裁も株式投資をしていた。両氏とも事実として認め、現在の保有株式は今月末までに売却。今後、株式投資は控えると明言した。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長も無視できず、倫理規定強化を指示するにいたった。来週のFOMC記者会見でも、この問題に関する質問が飛ぶことは間違いなかろう。

なお、地区連銀総裁の株式投資は、その内容が行内で開示されており、違法性はない。同じFOMCメンバーでも、FRB理事は公務員だが、地区連銀は公的機関に準ずる組織である。とはいえ、市場は納得できない。マーケットはFOMCでの会議の様子をなんとか探らんと、FOMC議事要旨を隅々まで読む。講演での発言も常にフォローする。

「カプラン氏は、直接FOMCに参加して、テーパリング(量的緩和の縮小)議論の進展を見ていた。それゆえ、早々と自己保有株を売り切ったのでは」など邪推されても、いたしかたあるまい。

そもそもカプラン氏は元ゴールドマン・サックス副会長で投資銀行部門を統括していたプロだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道では、時価ベースで100万ドル以上保有していた銘柄が、アップル、アマゾン・ドット・コム、ボーイング、アルファベット、フェイスブック、マラソン・ペトロリアムなど27社に及ぶ。さらに、100万ドル以上売買していた株式が、アップル、アリババ集団、アマゾン、ゼネラル・エレクトリック(GE)、シェブロンなど22社。

カプラン氏の個人的株式投資は突出しており、他の地区連銀総裁ははるかに規模は小さく限定的だ。

とはいえ、筆者は、FOMCメンバーである以上、誤解を招く株式投資は一切控えるべきだと思う。そうでなければ、FOMCに振り回される身として納得もできかねる。「どうぞ株式投資を続けて、銘柄売買状況を四半期ごとに公表してください。とても参考になる情報になります」と皮肉の一つも言ってみたいものだ。

パウエル議長の厳しい倫理規定実施を望む。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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