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REITとインフラファンドで自分年金 プロが示す狙い目

人生100年時代の資産形成術(4)

人生100年時代。長い老後を生き抜くための資金をどうつくるべきか。資産形成の考え方やノウハウを短期集中連載で紹介する。4回目は、安定した分配金を受け取れ、値上がり益も期待できる不動産投資信託(REIT)とインフラファンドに焦点を当てる。株に代わる投資先としても関心が高まっている両者の動向に詳しいプロに、有望な銘柄や投資上の留意点を解説してもらった。

REITとインフラファンドは、安定的な分配金の受け取りが見込める金融商品だ。REITは投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、マンションなどを購入し、賃料収入や売買益を分配する。インフラファンドは太陽光発電所を保有し、運営会社が支払う賃料を分配する。

両方とも長期的に分配金を再投資していけば、現役世代の資産形成にも使える。また、REITが投資している物件の賃料収入が増えれば、分配金の増加が見込める。投資先物件の価値が上がれば、投資口価格(株価に相当)の上昇によるキャピタルゲイン(値上がり益)も期待できる。

銘柄選びは長期目線が必須

銘柄選びのポイントとなるのが投資対象の将来性だ。REITは銘柄ごとにオフィス、住宅、物流・商業施設など、主な投資対象を定めており、その種類によって利回りや安定性などが異なる。インフラファンドが投資する太陽光発電所の収益性も不動産とは異なる。自分年金づくりの運用なら、投資期間は10年単位になるはずだ。その間には不動産の種類によって賃貸需要や賃料の水準も変化していく可能性が高い。

まとまった資金の運用なら、長期にわたって安定的な賃貸需要が見込める不動産に投資しているREITやインフラファンドが望ましい。一方、まだ資産を形成している段階なら、賃貸需要の拡大による分配金の増加や投資口価格の上昇が期待できるREITへの投資が理想だ。

つまり、自分年金という長期戦では、将来的な不動産の需要をある程度想定した商品選びが必要になってくる。REITに詳しいアイビー総研の関大介さんに、自分年金づくりという視点で銘柄を選ぶ時の注意点を聞いた。

物流施設型と住宅型が狙い目

REITには投資対象のタイプ別に複数のバリエーションがあるが、自分年金づくりが目的なら物流施設型がメイン。次点が住宅型。分配金増加を期待するならホテル型。懸念材料のあるオフィス型は避けたい。これが関さんの見立てだ。

物流施設型の魅力は分配金の安定性だ。組み入れている物流倉庫などの賃貸契約は長期のケースが多い。今後も通信販売の拡大や、人手不足を補うための物流施設の高度化など、賃貸需要は全国的に見ても底堅く、長期にわたって安定的な分配金が期待できる。

主に都心部の賃貸住宅に投資している住宅型は家賃の安定性に加え、機動性が自分年金の観点から評価できるという。

「長期的な投資先として捉えた場合、住宅型の強みは投資物件の規模が小さいこと。例えば、需要が減退して都心部の空室率が上がった場合、保有物件を売却してニーズのある郊外に展開するなど、需要の変化に応じた機動的な運用が比較的容易だ」(関さん)

資産形成を狙うならホテル型

物流施設や住宅はどちらかといえば安定的な賃料が魅力。一方、需要拡大による収益拡大のシナリオが描ける不動産もある。例えばホテルやシニア向けの住宅だ。

ホテル型のREITは、投資先ホテルの稼働率が上がればある程度分配金が増える仕組みになっていることが多い。コロナ禍で大きな影響を受けているが、それ以前のペースで訪日観光客が増えていくなら分配金、投資口価格とも伸びしろは大きいという。

一方、「シニア向け住宅の需要が拡大していくのは確実。住宅型REITの中でも、シニア住宅の比率が高い銘柄は中長期的な成長を期待してもいい」(関さん)。

なお、現在のREIT市場の主役であるオフィス型は、長期投資先としては懸念材料がいくつかあるという。「テレワークの導入によるオフィス解約の動きは収まっていない。就労人口は減少していくのに大規模オフィスの供給は続く。長期的な投資先としては不透明な要因が多い」(関さん)

インフラファンドは期間限定の高利回り

太陽光発電所などに投資して、運営会社から得る賃料を分配する商品がインフラファンドだ。固定価格買い取り制度(FIT)のおかげで分配金の支給はREITより安定的。利回りも年6%前後と高い。ただし、分配金や投資口価格の上昇は期待しにくい。

投資に際しては注意点もある。まずインフラファンド自体が縮小傾向であること。脱炭素の流れで太陽光発電由来の電力の需要が拡大。スポンサー企業は太陽光発電所をインフラファンドに組み入れるより、自前で運用した方がお得という状況だ。見込みも含め、既に2本のファンドがスポンサー企業による株式公開買い付け(TOB) で上場廃止になっている。

また、20年間というFIT期間終了後、売電価格や分配金がどうなるのかも未知数だ。「上場し続ける限り、10年程度という条件付きだが、安定的な分配金を期待できるのは間違いない」との見方を関さんは示す。

一方、新風を呼ぶのではと期待されているのが、ジャパン・インフラファンド投資法人エネクス・インフラ投資法人の2本だ。インフラファンドの投資先は太陽光発電所一辺倒だったが、この2本は水力発電所や洋上風力発電所などの組み入れに積極的。「再生可能エネルギー由来の電力のニーズは高い。FITに頼らない仕組みを開拓できれば投資口価格の上昇も期待できる」と関さんは話す。

インフラファンドの賞味期限は12~13年


インフラファンドが保有する太陽光発電設備は時間の経過で価値は目減りしていく。また、固定買い取り制度(FIT)の終了や税制の仕組み上、分配金は大幅に減る見込みだ。20年後にどれだけ分配金が減るかは全くの未知数。「価値がゼロになることはないだろうが、投資先としての賞味期限は12~13年。その時点で保有か売却かを判断してほしい」(関さん)

(本間健司)

[日経マネー2023年1月号の記事を再構成]

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