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複雑?選べない? NISAを「とにかく始める」考え方

知っ得・お金のトリセツ(83)

岸田文雄首相が訪英中に構想を明らかにした資産所得倍増プラン「インベスト・イン・キシダ(岸田に投資を)」で言及され、先兵として改めて注目が集まる少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」。通常なら投資リターンから差し引かれる20%(2037年までは復興特別所得税が加わり20.315%)の税金を免除してくれる制度だ。大騒ぎした消費税の上げ幅2%を思えば10倍の節税レベル。これを機に「よし、始めるか」と思ったあなた。

複数、変更……確かに複雑

残念ながらあなたを3つの荒波が襲う。複数のNISA枠の区別と、変更含みの将来と、「多すぎて選べない」問題だ。「早くもうんざり」……せずに読んでほしい。確かに複雑。でも大事なのは制度の完全理解ではなく始めること。自分に合う方法さえ選べればいい。どうせ「キシダ・イニシアチブ」(この造語はまだないがいかにもできそう)で近い将来の制度変更が予期されるだけになおさらだ。

現状、4つの「NISA」が存在する

本家英国から15年遅れで2014年に始まった日本のNISA。最初は1つだったのが現時点では制度として4つ存在する。

正確には④は制度はできたが発足は24年からの①の後継的存在だ。①、③は23年まででなくなる。そして①と②(24年からは②と④)は同時には使えない。あなたは思ったに違いない。「へ? じゃ22年の今、どうすりゃいいの?」

使える枠は使っておこう

シンプルに「非課税枠を無駄にしない」考え方が大事だ。まず22~23年、現行制度で2年分の非課税枠がある。特に19歳以下の子どもがいる家庭では、親が資金拠出して運用・管理するジュニアNISA枠をフイにする手はない。子ども1人で160万円、2人で320万円分の非課税枠だ。子どもが18歳になるまで資金を払い出せないのがネックだったが、制度廃止に伴い24年以降はいつでも可能になる。親は①と②の併用はできないが、③のジュニアNISAとの併用は可能。例えば家族全体で夫は①、妻は②、子ども分の③と分散することもできる。子ども2人なら一家で年320万円もの非課税枠が今、目の前にあるわけだ。

非課税枠の利用法はカスタマイズ可能

ここであなたは思ったに違いない、「そんなお金ないよ」と。最大投資額が独り歩きしがちだが枠を全部埋める必要はない。自分の予算で進めればいい。投資先が投資信託であれば多くの場合、毎月1000円から投資可能だし、つみたてNISAなら「毎日100円」から積み立てられるネット証券さえある。逆に多めに積み立てを始めたけれど、苦しくなったら途中から減額することも、お休みすることも可能だ。

もともとNISAは、投資可能期間や額がカッチリ定まっているもう1つの非課税制度「個人型確定拠出年金(iDeCo)」に比べて自由度が高い。日本に住む20歳以上なら誰でも使える(今年成人年齢が引き下げられたため23年以降は「18歳以上なら誰でも」)。だから人生100年時代、70歳からだろうと80歳からだろうと最長20年間の非課税期間がある②つみたてNISAを始めたっていいわけだ。

一般NISA→新NISA→つみたてNISAの継投策も

とはいえ、現時点である程度まとまったお金があれば、まずは残り2年の①一般NISA枠を使い切ろう。そうすれば2年後に④新NISAに移され、そこから最長5年の非課税枠が得られる。その先はさらに長い非課税期間がある②つみたてNISAに乗り換えれば最長で2061年まで非課税投資が続けられることになる。

選べなければ「つみたてNISA」

NISAのラビリンス(迷宮)に書いている本人もツライ。やはり今「とにかく始める」ことを考えると最適なのは②つみたてNISAになりそうだ。年非課税枠は40万円と1番小さいが、非課税期間が20年と長いので計800万円もの非課税投資が可能。今後議論が進むはずの恒久化もつみたてNISAを軸に進むとみられる。

なんと言っても心強いのが投資対象が「金融庁がお墨付きを与えた約200本の投資信託」に限られていること。全部で6000本以上ある投信から選ぼうとすると「多すぎて選べない」状態に陥るが、手数料や実績に関する事前のスクリーニングをお役所が済ませてくれている。200本からでも選ぶのは一仕事かもしれないが、そこは心にマントラをとなえて乗り切ろう――「枠をムダにしない。大事なのはとにかく始める」こと……。

山本由里(やまもと・ゆり)
1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。
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